【採択者決定】2024年度 KGRI Challenge Grant(研究補助金)
2024.05.21KGRIでは、昨年度まで行ってきたスタートアップ、プレスタートアップ研究補助金を一新し、今年度は、KGRIの新たなミッションをより明確に反映する「萌芽」「学際」「国際」「領域横断」「文理融合」分野における研究プロジェクトを対象とする補助金制度として、KGRI Challenge Grantを創設し、公募を行った。
具体的には【OIST-慶應探索型】【文理融合/学際/分野横断型】【新領域/国際連携開拓型】の3つの研究カテゴリーを設定し、広く学内の広報活動を行ったことにより、幅広い分野の研究者より、前年度を大きく上回る件数の意欲的かつ高水準の応募を得た。
厳正な審査の結果、下記4件の採択に至った。本補助金により、更なる国際的、領域横断的、または新領域の研究への発展、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」でも研究協力を進めているOISTとのより強固な研究連携、ならびに外部資金の獲得などでより大規模かつ独創的な研究への発展につながることを期待したい。今回不採択となった応募者についても、義塾内外のさまざまな制度を利用しながら更なる研究の発展につながるよう、KGRIからも応援していきたい。
【採択者】
「説明可能なコンピューティング環境の実現に向けて」
峯島 宏次(文学部 准教授)
「ナノ粒子による難治がんに対する免疫療法の開発」
籠谷 勇紀(医学部 教授)
「生物学の事象を解明する数理アプローチの開発」
筋野 智久(医学部 専任講師(学部内)(有期・医学部))
「ヒアラブルデバイスを用いた日常・ジェスチャ動作に基づく整形疾患推定システムの開発」
杉浦 裕太(理工学部 准教授)
【採択者からのコメント】
峯島 宏次
2024年度KGRI Challenge Grantに採択いただき、大変光栄に思います。私たちはいまや、絶えずコンピュータに接し、最近では、ChatGPTに代表される深層学習に基づくAIツールが急速に普及するなど、社会生活を取り巻くコンピューティング環境がますます多様化し、複雑化しています。本研究では、論理に基づくアプローチを軸として、日仏の国際連携のもと、コンピュータ・ソフトウェアの説明可能性をめぐる諸問題に取り組みます。論理とAIの分野横断的な観点から、説明可能性と公平性を備えたコンピューティング環境の実現に向けて研究を推進します。
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籠谷 勇紀
この度はKGRI Challenge Grantに採択いただき、誠にありがとうございます。私はこれまで、がんを免疫細胞に攻撃させて治療を行う免疫細胞療法の研究に従事してきましたが、本研究ではがんを攻撃する免疫細胞のさらなる活性化・機能強化を行う、いわゆる"人工がんワクチン"として働くナノ粒子の開発に取り組みます。ナノ工学を専門とする理工学部の松原輝彦先生との共同研究により、治療効果に優れる新しい治療法の確立に挑みたいと思います。本ご支援を端緒として基礎研究の知見を確立した上で、臨床への応用を早期に目指す所存です。
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筋野 智久
この度は、KGRI Challenge Grantに採択頂き、誠にありがとうございます。多様化、複雑性を極める現代社会において、領域横断的な知識・発想が今後必要とされる中、文理融合的思考、研究活動が重要であると考えております。私自身、医療という切り口、サイエンスという切り口から生命科学現象を見つめる中で、人間全体のダイナミズム、貧困・人口移動・経済活動といったあらゆる社会的な事象と共通点、非共通点を見出すことが可能でないかと考えております。人体における事象も社会における事象も共通点、非共通点をバイアスのない状態で把握することができれば、社会問題の解法の緒を掴めるかもしれません。本プロジェクト(OIST-Keio Academic Collaboration)ではOISTにおけるAI・画像解析技術と慶應義塾の有する医療・生命現象を捉える力・文理融合的思考・研究活動を通じて経済発展と社会課題の解決を両立する「ソサイエティ・5・0」達成に向けて、チャレンジ精神を持ってプロジェクトメンバーと共に新たな学問領域、方法論を確立したいと思っております。
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杉浦 裕太
この度は、KGRI Challenge Grantに採択していただき、誠にありがとうございます。近年、イヤフォンなどのヒアラブルは急速な進化を遂げており、音楽の視聴体験に留まらず、実環境と情報環境とをシームレスに常時接続できるユーザインタフェースとしての期待が高まっています。この背景を踏まえ、ヒアラブルの可能性を開拓し、さらに人々に与える影響などを調査することが重要です。本研究期間では、その中でもヒアラブルに内蔵されたセンサを用いて整形外科関連の疾患を推定する課題に取り組みます。本Challenge Grantには、採択者同士で交流できるイベントも多数用意されており、そのような場で分野を横断した連携を積極的に実施できればと考えています。
(研究概要は、こちらをご覧ください。)