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【採択者決定】2022年度 KGRIスタートアップ研究補助金

2022.05.23

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KGRIは、慶應義塾大学のグローバル化と学際研究を力強く推進するため、この目的に適ったスタートアップ研究に対して補助金を交付している。2019年度にスタートして以来、多くの期間がコロナ禍での研究となっているものの、これまでに補助金を交付した研究はいずれも「KGRI基準」を高いレベルで満たしており、既に重要な成果を上げられたものもあることから、本補助金には大きな意義があると考えている。

募集要項の周知徹底においては引き続きコロナ禍での制約があり、応募件数がやや伸び悩んだことや、応募の全体状況をみると、昨年度と同様やや理系に偏っている傾向も見られ、真の学際研究の推進という観点からは若干の物足りなさが感じられた点は否めない。一方で、応募のあったすべての研究に優れたところが多く見られたことから、KGRIとしては、学際研究がさらに深化・進化するよう、広報活動等についていろいろと知恵を絞っていくつもりである。

本年度も書類審査およびオープンヒアリング審査を行い、以下の2つの研究がKGRIスタートアップ研究補助金(200万円×2件)に採択された。本補助金が、採択者において適切かつ有効に活用され、各研究の発展を支える一助になるとともに、KGRIの精神ないしスタートアップ研究補助金の趣旨が採択者を通じて少しでも広がっていけば幸いである。

【採択者】

「認知症疾患修飾薬に向けた、より安価かつ非侵襲的な診断アルゴリズムの確立」
 手塚 俊樹(医学部 助教)

「健康の公平性と医療経済評価: 経済学とパブリックヘルスの手法を用いる国際研究」
 嶋本 恭子(KGRI 特任講師)


【採択者からのコメント】

手塚 俊樹
この度は、KGRIスタートアップ研究補助金に採択され、大変光栄に思います。世界の認知症患者は、2019年の推定5740万から2050年には推定1億5280万に増えると予測されます。認知症の中で最も多いアルツハイマー病(AD)のアミロイド病理の診断法と疾患修飾薬の開発が、喫緊の課題です。本研究では、認知症専門外来でこれまで収集した臨床情報、検査データ(アミロイドPET、体液バイオマーカー)を統合して、機械学習にてAD診断を予想します。本研究により、認知症疾患修飾薬の開発に向けた、より安価かつ非侵襲的でグローバルに利用可能な診断アルゴリズムの確立を目指します。
Tezuka

嶋本 恭子
昨年度からのご支援に続きまして、この度は本研究補助金に採択いただき大変光栄に存じます。心よりお礼申し上げます。本研究は健康の公平性(Health equity)を中心的課題として、英国の大学の先生方からのご指導とご支援を頂きながら、パブリックヘルスと経済学の分野からの学際的研究として開始しました。学内、国内外の研究者の方々との交流とネットワークを通して、研究の進捗と発展を目指しておりますので、幅広い専門領域の研究者の方々からのご助言とご支援を頂けましたら幸甚に存じます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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