先端数理科学研究センター

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センター概要

現代社会の営みは、数理科学の発展とその応用を抜きにして考えることはできない。数理科学は現代のさまざまな活動に使われて、その重要性は高まるばかりである(たとえば、セキュリティシステムを管理する暗号理論やビッグデータの解析など例をあげればきりがない)。
また、その成果がさまざまな分野に応用されるだけでなく、数理科学的な考え方も多くの分野に取り入れられて、現代社会の発展の要となっている。
そして、このこととも関連して、慶應義塾大学にはさまざまな学部に数理科学関係の教員が在籍している。慶應義塾に在籍する数理系の教員を結集して、数学固有の問題はもとより、さまざまな研究分野の間の横断研究を行うことおよび国際的活動を行うことが、このセンター設置の目的である。2017年まで活動していた統合数理科学研究センターによって築かれてきた研究活動の基礎に基づいて、これを進化・発展させ、さらなる先端的研究活動を行いたいと考える。

キーワード・主な研究テーマ

数理科学、横断研究、国際連携

2020年度 事業計画

■2019年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

例年行っている Boston Keio summer school は2020年6月にBoston大学において幾何学をテーマとして行うことが決まっている。また、UK Japan winter school は20周年を記念して、幾何・確率・力学系を中心として、特別プログラムGeometry, Stochastics & Dynamics -Celebrating 20 years of UK-Japan Winter Schools として、Warwick大学において2020年5月11日から15日まで行うことが決まっている。また今まで通り、海外の第一線で活躍している研究者の講演会も行う予定である。これらの研究集会や事業を通じて、学生や若手研究者に国際的な体験をさせ、その国際性を高め、世界に通用する人材を輩出したいと考えている。分野横断型の共同研究、国際的共同研究などもこれまで通り継続して進めて行く予定である。

■2020年度の新規活動目標と内容、実施の背景

慶應義塾内の数理科学研究の発展を目標として、学内での共同研究、若手研究者支援、国際共同研究、さまざまな異分野の連携についてのサポートを推進していきたい。国際研究集会に教員や学生をこれからも数多く派遣して、大学院生や若手の教員に対して、国際的に活躍する場を数多く提供していきたい。海外および国内の著名研究者を招いた統合数理科学研究センター主催の談話会、セミナーも積極的、定期的に行うことにより、慶應義塾内の数理科学研究者達、若手研究者達、大学院生達が気軽に集まれる場所を提供するとともに、数理科学とその周辺分野のさらなる活性化、発展をめざしたい。海外からの研究者も当センターに積極的に受け入れる予定である。来年度は談話会について推進したいと考えている。
2020年に固有の事業としては、7月に京都大学数理科学研究所において、国際整数論研究集会 Pan Asian Number Theory Conference を開催し、アジア出身で世界の第一線で活躍する研究者を多数招へいする予定である。たとえば、数学のノーベル賞であるフィールズ賞を受賞したベトナムの Ngo 氏も招聘することになっている。この研究集会開催に関して、先端数理科学研究センターもその中心的役割と担うことになっている。
以上のような活動の継続によって、慶應義塾の数理科学研究をさらに発展させたいと考えている。

2019年度 事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

今まで10年以上継続してきているアメリカのBoston大学と慶應義塾大学との間で行われているBoston-Keio summer workshopを本年度は整数論をテーマにして行った。Boston大学と慶應義塾大学の整数論専攻の教員はお互いを大変よく知り合っており、連携の成果が大きく実っている分野である。今年度は、整数論の多様なテーマを題材として、若手研究者及び学生を中心としたサマースクールを開催した。そして日米の若手研究者の連携をさらに深めることに成功した。
今まで毎年継続して行われてきたUK Japan winter schoolは例年1月に行われてきたが、今年度は20周年ということもあり、winter schoolではなく、規模を大きくして、5月に幾何・確率・力学系を中心として、Warwick大学において特別プログラムGeometry, Stochastics & Dynamics -Celebrating 20 years of UK-Japan Winter Schools UK Japan として行われることになった。したがって、例年と異なり1月のschoolは行われていないが、先端数理科学研究センターを中心にして資金を獲得することに成功し、会場・講演者が決定し、活発な準備が行われている。
また、AIの研究を始めとして、さまざまな横断研究もおこなわれており、先端数理科学研究センターの事業は順調に進められている。

公刊論文、学会発表、イベントなど社会貢献の実績

論文:38件

  • Large deviation principle in one-dimensional dynamics, Yong Moo Chung, Juan Rivera-Letelier, Hiroki Takahasi, Invent. Math. 218, 853-888 (2019).
  • Motion of a vortex filament in an external flow, Aiki M. and Iguchi T., Nonlinearity, 32(7), 2413-2425 (2019).
  • Integrality of subgradients and biconjugates of integrally convex functions, Murota, K. and Tamura, A., Optimization Letters 14, 195-208 (2020).

ほか35件

学会発表:13件

  • Masato Kurihara, Several regulators and a new conjecture on Kato's zeta elements for elliptic curves, International conference "Regulators in Niseko 2019", Niseko, Japan 2019年9月9日
  • Tatsuo Iguchi, A mathematical analysis of the Isobe-Kakinuma model for water waves, Oberwolfach Workshop: Mathematical Theory of Water Waves (Mathematisches Forschungsinstitut Oberwolfach, Germany), 2019年7月
  • 田村明久, 離散中点凸性とその変種, 離散凸解析と最適化 (京都大学) , 2019年11月, 数理解析研究所

ほか10件

センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

Boston Keio summer school などの国際研究集会及びworkshopを行い、学生や若手研究者に国際的な経験を積ませたことが大きな成果であると考えている。

メンバー

◎印は研究代表者

氏名所属研究機関職位