X Dignityセンター(SU)
センター概要
生成AIを含むテクノロジーの加速度的発展によって、人間そのものが「イノベーション」される時代を迎えつつある。このように人間/マシンの境界が融解する状況下では、領域横断的コミュニケーションを通じて、「人間」とは何か、「尊厳」とは何かを徹底的に考え抜くこと、新たな倫理観に基づいた領域横断研究を推進し、社会においてトラストされる技術を広く実装していくことが求められる。慶應義塾大学には「実践的人間学」ともいうべき智徳(学知)の伝統があり、それにもとづいた豊富な研究蓄積もある。本センターは、その蓄積を中心にしつつ、外部の先端的科学技術研究も戦略的に融合させ、国際的生成AIを含むテクノロジーの加速度的発展によって、人間そのものが「イノベーション」される時代を迎えつつある。このように人間/マシンの境界が融解する状況下では、領域横断的コミュニケーションを通じて、「人間」とは何か、「尊厳」とは何かを徹底的に考え抜くこと、新たな倫理観に基づいた領域横断研究を推進し、社会においてトラストされる技術を広く実装していくことが求められる。慶應義塾大学には「実践的人間学」ともいうべき智徳(学知)の伝統があり、それにもとづいた豊富な研究蓄積もある。本センターは、その蓄積を中心にしつつ、外部の先端的科学技術研究も戦略的に融合させ、国際的にも卓越した研究の推進と、人材育成を行う。
■活動内容
本センターは、以下の各ユニットを設置し、人間の「尊厳」を中心めぐる多種多様な研究開発を実施する。
基礎ユニット(総合研究)
リード:大久保 健晴 法学部教授
「概念と歴史」ユニット
リード:徳永 聡子 文学部教授
「規範と制度」ユニット
リード:山本 龍彦 法務研究科教授
「科学と未来」ユニット
リード:牛場 潤一 理工学部教授
本センターの研究内容や活動の詳細は、以下のセンターオリジナルWebサイトにおいて、随時公開・更新される。も卓越した研究の推進と、人材育成を行う。
2025年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
2025年度は、スタートアップセンターの2年目として、本センターへの移行に向けた本格的な研究活動を開始するとともに、センターの持続可能な運営・発展や継続的な研究資金の受入れに向けて、各種取組みの推進や研究支援体制の強化を行いたい。
例えば、基礎ユニットでは、「人間」と「機械」の違い、人間ならではの要素である「遊び」「娯楽」に着目し、人間を「遊び」という斬新な観点から再定義しようと試みる。慶應義塾の教員における「遊び」の研究と並行して、X Dignity
Lounge・X Reserch Studioを試験的に実施し、学外の方々と、カジュアルに「遊び」についてともに考える場を設けることも予定している。
ほかにも、「民主的ガバナンス」サブユニットでは、「ミニ・パブリックス」(熟議民主主義の一つのかたち)を設計し、市民社会において実験することを計画している。「思想の手触り」サブユニットでは、デジタル社会で失われつつある五感的作用に着目し、人々が日常生活において享受する経験が変容したことにより、人間性そのものに生じた影響について、慶應義塾のキャンパスをキャラバン的に横断しながら考える。
本センターでは、ここでは記載しきれないほど多くの魅力的な研究の計画が進んでいる。これらの研究成果を共有・統合し、迅速に社会に還元するためのプラットフォームとして、センターのホームページの充実化(英語版の公開を含む)や、オンライン雑誌「Xz
Media」の発刊に向けた準備を進める。
さらには、研究者が研究活動に専念できるようにするため、J-Peaks事業の一環としての事務局体制の強化(特任教員の受入れ)や、より多くのX(クロス)を育むための、オンラインツール(Slack)を活用したシームレスでボーダーレスでコンスタントなコミュニケーションの推進を図る。
■2025年度の新規活動目標と内容、実施の背景
2025年度は、上記の内容に加えて、OISTや海外研究機関との連携、新たなサブユニットの開始を中心に活動したい。
一つ目については、「アテンション・エコノミーと情報的健康」サブユニットにおける、12月21日のシンポジウムで発表された国際連携に向けた合意をさらに拡大させ、連携協定を締結するとともに、実際に連携を開始していきたい(日波泰港米仏など)。また、「概念と歴史」ユニットでは英国との連携について、「科学と未来」ユニットではOISTとの連携について、それぞれ計画中である。
二つ目については、2025年度中に、「アニメ平和学」及び「プラネタリーヘルスと法」という、新しい2つのサブユニットが始動予定である。前者については「アニメ」という本邦を代表する文化的営みに着目するもので、後者については環境問題や公衆衛生といった世界的に重要とされる分野と人権を重ね合わせる新たな視点に着目するもので、いずれも、領域横断的に人間の「尊厳」を検討しようとする、本センターの中核的なサブユニットとなることが期待される。
2024年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
本年度はスタートアップセンターとしての設立初年度であり、以下のとおり、来年度以降本格的に活動を開始するための準備を行うことができた。また、一部の研究サブユニットについては具体的な研究活動を開始することができた。
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研究組織の構築、研究計画の立案
7月1日にセンターを設立し、現時点で、4つの研究ユニットが構築され、その下に合計12つのサブユニットが設置された。
現在、学部・研究科や専門分野の垣根を越えて、約20名の兼担教員がセンターの所員として集結し、来年度の開始に向けて、実質的な研究活動を行うための準備をしている。また、慶應義塾外とのX(クロス)により、幅広い知見や価値観を研究に導入するため、来年度以降、訪問教員及び共同研究員(計20名~30名程度)の受入れを実施するため、必要な手続等を行っている。
その他、研究組織として適切なガバナンス体制を整えるため、学術研究支援部等と密な連携を図りながら、センター内規の制定、運営委員会の設置・開催(今年度は5回実施)及び事務局体制の強化(今年度は臨時職員3名)を行った。 -
研究資金
センターとして、本年度、以下の研究資金の受入れがあった。
A)寄附金 5件(計1,850万円)
B)受託研究 1件(計500万円)
C)共同研究 2件(計1050万円)
また、現在、複数の企業等との間で、新規の寄附金の受入れや受託・共同研究の実施に向けて協議を行っている。 -
センター独自の取組みに向けた準備
センターが社会と大学の交差点となるため、センター内に設置されたブリッジング・オフィスを中心に、各種イベント(X Dignity Lounge・X Reserch Studio)や出版(X Media)を開始するための企画や準備を行った。 - 具体的な研究活動の開始
KGRI2040独立自尊プロジェクト<安全>の一部を承継した「アテンション・エコノミーと情報的健康」サブユニットでは、昨年度に実施されたシンポジウムにおける研究成果を取りまとめたWorking Paperを公開するとともに、国際シンポジウム(12月21日)を開催すること等を通じて、海外機関との研究連携を開始するための準備を行っている。
また、基礎ユニット、「概念と歴史」ユニットや「民主的ガバナンス」サブユニットにおいては、キックオフ会議を開催し、来年度以降の詳細な研究計画の立案、研究構成員間の役割分担などを決定することができた。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
【センター全体】
- 論考:山本龍彦「大学における科学技術と人文知の交差--X Dignityセンター設置の背景」三田評論8・9月合併号(慶應義塾、2024年)
- シンポジウム:「"X Dignity"の意義と実践-AI時代のいま、尊厳を問い直す」(2024年10月3日、東館ホール)
- 講演会:韓国・延世大学 ハム・ジハク教授「韓国憲法学における人間の尊厳をめぐって」(2024年10月21日、南館ディスタンスラーニング室)
- 対談:(調整中)(2025年3月16日実施予定、北館ホール)
【「アテンション・エコノミーと情報的健康」サブユニット】
- Working Paper:鳥海不二夫=山本龍彦『共同提言「健全な言論プラットフォームに向けて ver2.1―情報的健康を、実装へ」』(KGRI Working Papers, 2024)
- シンポジウム:「『情報的健康』を、日本から世界へー国際連携によるデジタル空間健全化への駆動ー」(2024年12月21日、北館ホール)
- 対談:「《情報的健康》特別対談(仮)」(2024年度中に第1~2回を収録・YouTube等で公開予定)
【その他】
- シンポジウム(共催)「Cultures of youth mental health in East Asia, North America, and the UK」共催(2025年1月23日~25日、シカゴ大学香港キャンパス)
- シンポジウム(共催)「医療と人文社会科学の架橋に向けて39:神経科学と予防医学の人類学」共催(2025年2月24日~25日、G-Labほか)
■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄
センター内部における研究計画・活動計画と並行して、社会の声をセンターに取り入れるための活動ができたのは、卓越した成果であった。特に、10月3日のシンポジウムでは、Google DeepMind社のアンナ・コイヴニエミ氏、株式会社読売新聞グループ本社代表取締役社長の山口寿一氏、LINEヤフー株式会社代表取締役会長の川邊健太郎氏にそれぞれご登壇いただき、それぞれの視点からみた現代社会の問題点、これからの時代における「人間」の在り方について議論することができた。また、2月12日に実施された第1回アドバイザリーボード会議では、計10名のアドバイザリーボード委員に対し、今年度のセンターの活動成果と来年度の活動計画の報告を行い、委員からは、両者に対して多数の貴重なご意見等をいただいた。これらの結果は、来年度以降の研究計画・活動計画に速やかに取り入れられる。
センターオリジナルWebサイト
SDGs









設置期間
2024/07/01~2026/06/30
メンバー
◎印は研究代表者
氏名 | 所属研究機関 | 職位 | 研究分野・関心領域 |
---|---|---|---|
◎ 山本 龍彦 | 法務研究科 | 教授 | 憲法、情報法 |
牛場 潤一 | 理工学部 | 教授 | リハビリテーション神経科学 |
大久保 健晴 | 法学部 | 教授 | 東洋政治思想史、日本政治思想史 |
徳永 聡子 | 文学部 | 教授 | 英米・英語圏文学 |
黒坂 達也 | 政策・メディア研究科 | 特任准教授 | 情報通信政策、人工知能政策、モバイル通信技術 |
岩谷 十郎 | 慶應義塾/法学部 | 常任理事/教授 | 日本法制史 |
奥田 暁代 | 慶應義塾/法学部 | 常任理事/教授 | 英米・英語圏文学 |
高田 晴仁 | 法務研究科 | 教授 | 商法、会社法 |
粕谷 祐子 | 法学部 | 教授 | 比較政治学、東南アジア政治 |
駒村 圭吾 | 法学部 | 教授 | 憲法、言論法 |
村井 純 | KGRI | 特任教授 | コンピュータコミュニケーション、オペレーティングシステム |
北中 淳子 | 文学部 | 教授 | 文化人類学・民俗学 |
星野 崇宏 | 経済学部 | 教授 | 統計学、行動経済学 |
堤林 剣 | 法学部 | 教授 | 政治思想史、比較政治思想 |
田中 謙二 | 医学部 | 教授 | ライフサイエンス、神経科学一般 |
迫 桂 | 経済学部 | 教授 | 英文学、エイジング・スタディーズ |
石田 京子 | 文学部 | 教授 | 近代ドイツ倫理思想 |
西尾 宇広 | 文学部 | 准教授 | ドイツ語圏文学、文化研究 |
石川 大智 | 理工学部 | 専任講師 | 英文学、文化史 |
若澤 佑典 | 文学部 | 准教授 | イギリス18世紀研究、アイデアの歴史 |
笠井 賢紀 | 法学部 | 准教授 | 社会学、文化人類学 |
杉本 俊介 | 商学部 | 教授 | 哲学、倫理学 |
鳥海 不二夫 | KGRI | 訪問教授 | 計算社会科学 |
山本 健人 | KGRI | 訪問准教授 | 憲法学、デジタル立憲主義 |
荒川 稜子 | KGRI | 共同研究員 | EU法、国際人権法 |
石本 晃一 | KGRI | 共同研究員 | 競争法 |
門谷 春輝 | KGRI | 共同研究員 | 憲法 |
河嶋 春奈 | KGRI | 共同研究員 | 憲法、医事法 |
小久保 智淳 | KGRI | 共同研究員 | 憲法学、神経法学、計算論的神経科学、認知過程の自由、プライバシー |
相馬 諒太郎 | KGRI | 共同研究員 | 情報法、知的財産法、情報的健康 |
寺前 翔平 | KGRI | 共同研究員 | 知的財産法、労働法 |
吹野 加奈 | KGRI | 共同研究員 | リーガルオペレーションズ、AIテクノロジーに関する法規制、コーポレートと人権 |
山口 真一 | KGRI | 共同研究員 | 社会情報学、計量経済学、情報経済論 |
南谷 健太 | KGRI | 共同研究員 | プラネタリーヘルス、公衆衛生法、労働法、ヘルスケア法 |
山内 志朗 | KGRI | 共同研究員 | 倫理学、中世哲学 |