慶應スポーツSDGsセンター(SU)

   

センター概要

中・長期的な身体活動・運動・スポーツ推進、ひいては、ウェルビーイングの実現に向け、塾内横断的な組織として、賛同の得られた行政組織・企業等とも連携し、継続的に活動する。
システムズアプローチや世界保健機関が2018年に発行した「身体活動に関する世界行動計画2018-2030; Global Action Plan on Physical Activity 2018-2030 (GAPPA)」を基盤としてとらえ、SDGsにもつながる身体活動・運動・スポーツ推進について必要なステークホルダーに働きかけ、活動をスケールアップする。
国際的な関連組織と連携をとり、協働するとともに、成果を国内外に発信する。

2023年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

藤沢市との連携で実施している身体活動促進(ふじさわプラス・テン、さらにはシステムズアプローチ)は、市の施策への反映も含め、継続的に進めていく。世界では、ポピュレーションレベルでのシステムズアプローチを用いた身体活動促進は、WHOが推進していることもあり、いくつかの地区で特徴的な成果を出している。日本では、まだみられず、藤沢市での取り組みは、日本をリードする特徴的な取り組みといえ、国際的な連携も含め、継続的に推進していく。特に、来年度は、市の健康推進計画の評価を行う年であり、そちらで長期的な評価をするとともに、次の計画(次年度)に成果を反映する予定である。その中で、オンラインラジオ体操は藤沢市でも好評であり、持続的な実施方法について、検討遂行する。また、他のセッティングでも実施する報告で整理・検討している。
藤沢市にある民間施設における高齢者向け運動プログラムについては、現在無作為化比較試験の実施を開始するところであり、さらに、実社会での継続的な実施に向けて、進めていく予定である。
そのほか、
・コロナ禍・コロナ後のオンラインも含めた体育教育、身体活動推進について、継続的に検討・実施する。
・パラリンピックを契機に始まった障害者の雇用創出としての北九州市グローブ作りプロジェクトを推進する。
・湘南地区における子供の体力づくりプロジェクトを複数の市町と連携して、推進する。
定期的なセンターミーティング、勉強会、年1回(予定)のシンポジウムも継続して実施する予定である。
・国際的な連携の一環として、10月にシェフィールドハラム大学のAnna Lowe先生来日の際に、講演会・シンポジウムなどを企画し、連携を深めるとともに、対外的にもアピールする。

■2023年度の新規活動目標と内容、実施の背景

新規活動目標として、2023年度は特に、①力のある企業との連携を強化していきたい。そのために、シリーズで行う講座(オンサイトあるいはオンライン、多人数)・その後のワークショップ(企業内でシステムズアプローチを活用した身体活動促進を推進するため、少人数)を行う。その後この方法を導入した企業のフォローアップを長期的に実施していく。そのために必要なセンターサイドの人材育成も並行して行っていく。 本年度勉強会を継続的に実施してきた。しかしながら、力強い連携体制を作るためには、より限定的なフォーカスを定めたアプローチも必要であることを実感した。一方、企業側も、健康経営をはじめ、SDGsへの貢献、従業員のウェルビーイング向上等の点で、我々の活動に興味を抱いておられることが分かった。そのため、特任准教授の林英恵先生とともに、計画を構想中である。

2022年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

・英国シェフィールド市を訪問(小熊、中村)し、先方Move MoreSheffield Project各所の見学、メンバーとの交流を図った。
・本年度のシンポジウムとして「多分野連携で進めるスポーツ・身体活動」をテーマに2023年2月26日に日吉キャンパスで実施した。
・2022年4月より継続的に第3木曜日にセンター会議を実施し、情報共有・進捗確認を行った。また、関心のあるステークホルダーとの勉強会をオンラインで1時間、センター会議の後に実施し、GAPPAやシステムズアプローチについて理解を深めることができた。(センターメンバーの発表、塾外参加者の発表など)
既存のプロジェクトについては、以下の通り、推進した。
・藤沢市で継続的に行われている身体活動推進プロジェクト(ふじさわプラス・テン)については、運動実施グループ6件の健康チェックに訪問し実施した。コロナ禍での再開のところもあり、特に、安全管理に留意した取り組みも開始、食事・オーラルフレイル・ITリテラシーにも注目した支援を行っている。2021年度藤沢市とともに実施してきた、GAPPAやシステムズアプローチを踏まえた市の身体活動推進事業についてはまとめを行い、公衆衛生学会、ISPAH(国際身体活動と健康学会)でその成果を発表した。また藤沢市内の施設の新規事業については順調に共同研究を進んでいる。
・2021年度に実績を積んだオンライン・オフライン併用運動プログラムについて、ノウハウを更新し、横浜市、藤沢市とそれぞれ夏休みの期間に5日、3日ずつ実施することができた。
・コロナ禍・コロナ後のオンラインも含めた体育教育、身体活動推進について、継続的に検討・実施した。
・パラリンピックを契機に始まった障害者の雇用創出としての北九州市グローブ作りプロジェクトを推進している。
・湘南地区における子供の体力づくりプロジェクトを複数の市町と連携して、より具体的な計画ができてきている。
以上いずれもほぼ計画通りに進んでいる。他地域での実践や企業との新規連携事業については、まだ実績に至っておらず、今後強化すべきポイントと考えている。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
・公刊論文数 13件
Preventive Medicine Reports、BMC Public Health、Nutrients、Plos One、Bone、Biomarker Insights、British Journal of Nutrition、SSM Population Health、Public Health Nutrition、体力科学、日本老年医学会雑誌、日本公衆衛生雑誌、日本健康教育学会誌ほか)

・学会発表件数
国内10件(日本運動疫学会、日本健康教育学会、日本体力医学会、日本臨床運動療法学会、日本公衆衛生学会、日本疫学会、日本臨床スポーツ医学会など)
国外 5件(International Society of Physical Activity and Public Heath 3件ほか)

・イベント
> いのち輝く未来のまちづくり 第二部 輝く未来のまちづくりへ 動画出演 2022/10/22
> 第77回体力医学会ランチョンセミナー「地域における運動・スポーツと医療との連携」講演 2022/9/22
> 地域・企業で実践するための「スポーツ×テクノロジー」~運動データから導き出される高齢者の健康増進~(稲見先生 7-8月)
> 藤沢市こどもの日イベント出展 2022/5/5
> Open Research Forum 2022 セッション「カラダを動かすことがSDGsに貢献?地域をアクティブにする方法教えます!」講演 2022/11/21
> 藤沢市 スポーツシンポジウム2022 基調講演「スポーツの力」 2022/10/10
> シェフィールド市での講演 「Fujisawa +10 project: Community-wide physical activity promotion & Challenges of systems approach」 2022/10/18
> 第93回日本衛生学会学術総会 公開講座 人生100年時代の健康づくり 「100歳まで元気に。今から始めるからだづくり」 2023/3/4
> TBS ウェルネスWG主催「「持続可能な身体づくりの秘訣~食事や運動、できることから始めよう!」 2023/2/13講演

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

特に英国シェフィールド市Move more Sheffieldプロジェクトとの連携は、本年度の大きな成果と言える。現地を見学すること、実務に関わる複数の方々と話をする中で、長期的なプロジェクトの意義やポイントを学ぶことができた。我々が長期的に藤沢市で展開しているふじさわプラス・テンプロジェクトとも通じるところが多く、共感が得られた。プロジェクトリーダーのAnna Lowe氏については6月に来日予定であり、さらに連携を強化できると考えている。
国際的にこの分野をリードしているInternational Society of Physical Activity and Public Health(ISPAH)の会長を務めているKaren Milton氏は、GAPPAの作成、2020年WHOの身体活動・座位行動ガイドラインの作成、2022年のレポート作成にも大きく貢献している人物である。本年度のシンポジウムで講演いただき、今後も相互交流が進められると考えている。
月1回の勉強会においては、参加者を限定せずに進めてきた。自治体や市民の方、運動施設関連、Dx関連、研究者など多様な参加者と有意義な学びや関係形成ができた。その中で共同研究や次のプロジェクトの芽が育ってきている。 11月のOpen Research Forumにも出典したが、SFCでの開催となり、地元藤沢市の方だけでなく、新たに関心を持つ多方面の方との出会いの場となった。
本年度で3回目となるKEIO SPORTS SDGsシンポジウムは、2/26に実施した。今年は特に今までの経緯を踏まえより拡大して、多部門連携をキーに、2つのセッション「誰でもできるメンタルヘルスのすゝめ(田中ウルヴェ京氏、小塩靖崇氏講演)」「健康経営と社会実装(樋口毅氏、甲斐裕子氏講演)」と二つのセッションを設けることができた。オンサイトの実施であり、このシンポジウムを契機に、演者との連携・展開を更に進めていく予定である。

センター オリジナルWebサイト:

KEIO SPORTS SDGs

SDGs

2. 飢餓をゼロに2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう5. ジェンダー平等を実現しよう
8. 働きがいも経済成長も8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を13. 気候変動に具体的な対策を
15. 陸の豊かさも守ろう15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう17. パートナーシップで目標を達成しよう

設置期間

2022/04/01~2024/03/31

メンバー

◎印は研究代表者

氏名 所属研究機関 職位 研究分野・関心領域
◎ 小熊 祐子 スポーツ医学研究センター 准教授 環境生理学、疫学・予防医学、代謝学、内分泌学
石田 浩之 スポーツ医学研究センター 教授 スポーツ医学、内科学、老年学
橋本 健史 スポーツ医学研究センター 教授 足の外科、 スポーツ医学
神武 直彦 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 システムズエンジニアリング、デザイン思考、社会技術システムのデザイン、計算機科学、宇宙システム、IoT
稲見 崇孝 体育研究所 専任講師 運動生理学、応用健康科学
蟹江 憲史 政策・メディア研究科 教授 政治学、国際関係論
佐藤 和毅 医学部 教授 スポーツ医学
大澤 祐介 健康マネジメント研究科 准教授 老年疫学、 スポーツ科学
佐野 毅彦 健康マネジメント研究科 准教授 スポーツマネジメント
仰木 裕嗣 政策・メディア研究科 教授 スポーツ科学、電子デバイス・電子機器、計測工学、リハビリテーション科学・福祉工学
東海林 祐子 政策・メディア研究科 准教授 ライフスキル、コーチング
太田 千尋 (2023/11/11-) システムデザイン・マネジメント研究科 特任助教
和田 康二 (2023/11/11-) システムデザイン・マネジメント研究科 特任助教