ストレス研究センター

   

センター概要

世界的に、メンタルヘルスの問題が社会に及ぼす影響の大きさが重要な政策課題の一つになっている。近年では、新型コロナ感染症の影響もあり、その問題の大きさはさらに拡大を続けている。企業においては、企業内メンタルヘルス不調による長期休業者や労働生産性の損失の増大、精神障害例の労災補償申請および認定数の増加などの形でこの問題が表面化しているが、こうした社員のメンタルヘルス不調に起因する様々な影響は、当事者に取っても企業にとって大きな負荷としてのしかかっている。
こうしたメンタルヘルスの問題が企業をはじめとした社会に与える影響を精神医学・臨床心理学の知見を用いて解決していくことが、ストレス研究センターが設置された目的である。

2022年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

KEAPについては、複数企業から継続希望があり、これを継続していく予定である。
AMED事業で継続しているマインドフルネスの長期効果の検証については、論文のpublishを進める。
経産省および株式会社日本総合研究所との共同研究で行うwellbeingをベースにした効用値の尺度であるICECAPの日本語版スコアリングシステム開発研究を実施する。
文部科学研究(基盤B)にて実施している、企業におけるマインドフルネス認知療法の労働生産性に対するRCTを継続する。
産業精神医学の知見を深めるための研修会を開催し、産業保健領域における産業精神保健の知見を広める活動に取り組む。

■2022年度の新規活動目標と内容、実施の背景

文部科学研究(基盤C)にて実施しているバーチャルリアリティを用いたマインドフルネス認知療法の不安症に対する効果検証についてRCTを開始する。
健康経営の一環として、新入社員の健康状態改善を目的としたマインドフルネス研修を1社で実施しその効果を測定する。

2021年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

KEAP事業を継続し、プログラムの改善と知見の蓄積を行った。今年度から契約企業が1社増え、現在4社で継続中である。
研修会(ストレス研究センターカンファレンス)を開催し、産業メンタルヘルスに関する知識の獲得や教育的なプログラムを提供した。
文部科学研究にて実施したマインドフルネス認知療法のwellbeingに対する効果についてmain paperがpublishされた。
公文教育研究会の受託研究で、介護者のwellbeingに対する研究を継続中である。
AMEDの研究費助成を受けマインドフルネス認知療法の長期効果を検証するためのRCTが終了し、protocol paperがpublishされた。
慶應大学の学生、職員向けにマイドフルネス体験会を毎月2回継続的に実施し、のべ200人以上に参加いただいた。
効果の実証に取り組んでいるマインドルフルネス認知療法の研修を複数の企業で実施し、今後の導入発展につなげた。
株式会社日本総合研究所との共同研究でwellbeingをベースにした効用値の尺度であるICECAPの日本語版スコアリングシステム開発研究のプロトコールを作成した。
以上の活動により、十分な達成度を得たと考えている。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

公刊論文数:21 主たる公刊誌名:Psychiatry and Clinical Neurosciences, Frontiers in Psychology, PlosOne, JMIR、精神科、精神科治療学、精神療法、Depression Strategy
 
学会発表件数:国内 23  国外 1 
イベントなどの社会貢献の実績 ストレス研究センターカンファレンス 4回(2021年6月、10月、12月、2022年2月)、複数企業にて「マインドフルネス研修」を実施した。
小寺記念精神分析研究財団「臨床家のための、産業メンタルヘルス実践セミナー」、中央労働災害防止協会「心とからだの健康づくり指導者等のための実務向上研修」等はCOVID-19流行のために中止となった。

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

2021年度は、KEAP事業の契約企業を1社拡大した上で、その事業を継続し知見をさらに蓄積した。
文部科学研究(基盤B)にて、企業におけるマインドフルネス認知療法の労働生産性に対する簡易型プログラムを開発し、RCTを開始した。そのprotocol論文をsubmissionした。
文部科学研究(基盤C)にて、Virtual Realityを用いた不安症に対するマインドフルネス認知療法のプログラムを開発し、pilot studyを開始した。
公文教育研究会の受託研究で、介護者のwellbeingに対する研究を継続している。
経産省および株式会社日本総合研究所との共同研究でwellbeingをベースにした効用値の尺度であるICECAPの日本語版スコアリングシステム開発研究のプロトコールを作成した。
AMEDの研究費助成を受けて実施しているマインドフルネス認知療法の長期効果検証のためのRCTを完了し、protocol paperをpublishした。
社会的貢献としては、慶應産業精神保健カンファレンスを継続した。また慶應大学の学生、職員向けにマイドフルネス体験会を毎月2回継続的に実施し、のべ200人以上に参加いただいた。さらに、学会や講演会等の機会を活用して我々の取り組みを広く発信した。

センター オリジナルWebサイト:

慶應義塾大学 ストレス研究センター

SDGs

3. すべての人に健康と福祉を3. すべての人に健康と福祉を
8. 働きがいも経済成長も8. 働きがいも経済成長も

設置期間

2013/06/01~2023/05/31

メンバー

◎印は研究代表者

氏名所属研究機関職位研究分野・関心領域
◎ 三村 將 医学部 教授 神経心理学、老年精神医学
佐渡 充洋 保健管理センター 教授 医療管理学、医療系社会学、精神神経科学
二宮 朗 医学部 助教 気分障害、不安障害、働く人のメンタルヘルス
山田 成志 医学部 特任助教 精神神経科学、産業精神保健
田渕 肇 医学部 特任准教授 精神神経科学、神経科学一般、知能ロボティクス、理工系