モビリティカルチャー研究センター

   

センター概要

本センターでは安心・安全で、利便性が高く、環境に配慮したモビリティの構築に向けた研究を行う。技術基盤の進歩と社会基盤の変化に対応したアプローチが必要である。モビリティの利用者が誰か、どのような地域で、何が目的かによって様々な解があり得る事はMaaS (Mobility as a Service) や Shared Economy の急速な発展から知ることができる。自治体との連携協定、関連団体との長期間の共同研究も含めて、本センターでは主に以下のような研究テーマと活動に取り組む。
(1) 自動車を活用した情報通信システム
(2) 自動運転システムの導入に関する基盤研究
(3) ITSの高度化と道路交通管理
(4) IoTに関連した横断的分野の研究
(5) ITS等における国際標準化活動

2021年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

2020年度に実施した以下の課題に引き続き取り組む。
(1) 自動車を活用した情報通信システム
(2) 自動運転システムの導入に関する基盤研究
(3) ITSの高度化と道路交通管理
(4) IoTに関連した横断的分野の研究
(5) ITS等における国際標準化活動
(1)では、VHUBの国内展開(総務省主導)に向けた活動を継続し、千葉県一宮町で活用検討を進める。
(2)について、戦略的イノベーションプログラム(SIP)自動走行システム/大規模実証実験/HMIにおいて自動運転車と他の交通参加者とのコミュニケーション技術に関する研究を進める。また、ODDおよびこれを支援すると考えられるISAD(Infrastructure Support Levels for Automated Driving)の調査研究を継続する。
(3)については、(一財)ITSサービス高度化機構(ITS-TEA)からの5G時代のITS情報通信システムに関する調査研究を継続する予定である。首都高速道路(株)との自動運転車両と一般車両との混在交通時の交通流に関する検討を継続する予定である。
(4)では、多様なサービスや事業が提案されかつ進められているMaaS(Mobility as a Service) の特に山中間地や原発被災地への適用を検討する。
(5)では、前年度と同様にISO/TC204、ITU-T,ITU-R、情報通信技術委員会(TTC)での国際標準化策定の支援活動を行う。

■2021年度の新規活動目標と内容、実施の背景

自動運転に関係する情報通信の議論が活発になってきている。これまでの成果を踏まえて、新規研究課題の採択やプロジェクトの立ち上げを目指す。

2020年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

「(1) 自動車を活用した情報通信システム」に関しては、前年度ASTAPにおいて国際標準化完了に貢献したVHUB(災害時おける車両を活用した通信HUB)を国内展開するために慶應義塾大学との連携協先である千葉県一宮町とTTCで実証実験を検討した。
「(2) 自動運転システムの導入に関する基盤研究」に関しては、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/自動運転の高度化に則したHMI及び安全教育方法に関する調査研究」にて、自動運転車と周囲交通参加者とのインタラクション・コミュニケーションに関する現地調査ならびに観測映像データに基づく分析や、車両挙動と外向けHMI、インフラ連携、路面標示の組合せなどによるコミュニケーション効果ならびに負の影響に関するVR実験を実施し、設計推奨や教育・知識に関する知見抽出を行った。コロナ禍の影響で被験者実験の一部を2021年度に持ち越すこととなった。日独連携によるコミュニケーション研究の具体的な方法論について意見交換を行った。別の研究課題として、自動運転の実用化に必須と考えられるODD(Operational Design Domain)の調査研究を開始し、これに関する調査研究を(一財)道路新産業開発機構(HIDO)より受託した。
「(3) ITSの高度化と道路交通管理」に関しては、(一財)ITSサービス高度化機構(ITS-TEA)より「自動運転時代に即した次世代道路運用管理とITS通信に関する調査研究」を受託した。また、首都高速道路(株)との共同で自動運転車両と一般車両との混在交通時の交通流に関する基礎的検討を継続して実施した。
「(4) IoTに関連した横断的分野の研究」に関しては、IoTやAI技術を応用したIoT情報通信ネットワークシステム、オープンプラットフォーム、データ連携基盤の研究を継続中。
「(5) ITS等における国際標準化活動」に関しては、ISO/TC204、ITU-T,ITU-R、情報通信技術委員会(TTC)での国際標準化策定支援を継続して実施した。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

公刊論文 8件

  1. 佐竹颯太, 谷遼太郎, 豊田睦, 重野寛: 車載器非搭載車両を考慮した協調認識のためのモバイルエッジコンピューティング支援型車両情報共有システム,情報処理学会論文誌, Vol.62, No.2, pp.475-483, 2021年2月.
  2. W.A. Shanaka P. Abeysiriwardhana, Janaka Wijekoon, and Hiroaki Nishi: Smart Community Edge: Stream Processing Edge Computing Node for Smart Community Services, 電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌)IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems, Vol.140 No.9, pp.1030-1039, DOI: 10.1541/ieejeiss.140.1030, 2020年9月.
  3. 久我知希, 林百花, 大門樹, 水野伸洋, 吉澤顕: 自動運転から手動運転への段階解除過程におけるドライバー支援のための情報コンテンツに関する基礎的研究 -情報提供がACC解除後の運転行動と視認行動に与える影響-, 自動車技術会論文集,Vol.51, No.3, pp.466-472, 2020年5月.
    (他5件)
学会発表 国際会議 10件、国内会議 8件
展示・イベント等 8件
  1. 大門樹, 自動運転車と歩行者・交通参加者とのコミュニケーション -外向けHMI(Human Machine Interface)-/Communication between Automated Vehicle and Traffic Participants - External HMI (Human Machine Interface) -, SIP-adus Workshop 2020 (国内/国外Web配信, 2020/11/10, 東京.
    (他7件)

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

・「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/自動運転の高度化に則したHMI及び安全教育方法に関する調査研究」を継続し、多様な視点に基づくコミュニケーション設計・教育等に関する研究を実施した。
・ITS関連公的機関から「ITS及び道路交通環境・エネルギー等に関する調査・研究」((一財)道路新産業開発機構委託研究)、「自動運転時代に即した次世代道路運用管理とITS通信に関する調査研究」((一財)ITSサービス高度化機構委託研究)を受託し、それぞれ具体的な項目を定めて研究・調査を進めた。

センター オリジナルWebサイト:

モビリティカルチャー研究センター

SDGs

11. 住み続けられるまちづくりを11. 住み続けられるまちづくりを

設置期間

2019/07/01~2022/03/31

メンバー

◎印は研究代表者

氏名 所属研究機関 職位 研究分野・関心領域
◎ 重野 寛 理工学部 教授 コンピュータネットワーク、モバイルコンピューティング、ユビキタスコンピューティング
山口 高平 理工学部 教授 知能情報学
大門 樹 理工学部 教授 高度道路交通システム(ITS)、ヒューマンファクタ分析、ヒューマンインタフェース設計・評価、脳波・生体信号処理、配車配送計画問題の解法
西 宏章 理工学部 教授 計算機システム、社会システム工学・安全システム、通信・ネットワーク工学
大前 学 政策・メディア研究科 教授 機械力学・制御、知能機械学・機械システム、自動車工学
山中 直明 理工学部 教授 フォトニックネットワーク、通信プロトコル