超成熟社会創造オープン研究センター

   

センター概要

慶應義塾大学KGRI内に設置する超成熟社会オープン研究センターは、日本が世界に先駆けて直面する「超成熟社会」における新しい社会システムを、慶應義塾の文系・理系を融合し、日本電信電話株式会社(NTT)等との複数の企業との産学連携研究をコアとして、広く国内外のアクティビティと融合していくコンソーシアム型オープンラボラトリーである。
オープン研究センターは、慶應義塾と複数の企業のメンバーを融合して、理工学、社会学、政策、経済学、医学といった制限することのないフィールド技術をベースに、ICT技術をコアとしながら「超成熟社会」の問題を共同研究する。
2020年は大きな制限が生じたが、企業との連携関係を確保し続けられるように取り組みを行った。

2021年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

COVID-19でスケジュールが狂ってしまっているが、米国と日本で共同のプロジェクトを作り、新川崎を世界に一つのCoEキャンパスとして動かすことが主要な活動である。ただし、その具体的な予定は立っていない。一方、エッジコンピュータを用いたスマート化の研究は順調に進んでおり、キャンパスを利用した走行実験もSFC大前教授らと連携し、実施した。

■2021年度の新規活動目標と内容、実施の背景

2021年はオンラインの活用も考えて、国内コンソーシアムのメンバーと海外のコラボレータによるグローバルワークショップを行なう。また、場合によっては、国際会議等で本研究センターのセッションやシンポジウムを開催し、グローバル化をアピールしたい。また、文理融合にも力を入れていきたい。

2020年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

2020年度に加速した研究について述べる
(1)文理融合
経済学部の駒村康平教授をお呼びして、今後の重要な課題であるコロナ後の社会のスマート化技術について、産学連携で研究した。また、医学部の中村雅也教授、天谷雅行教授らも含めて、講演議論を進めた。最終的には、企業からはNTTの東日本社長、持ち株研究所の取締役を始め、80名以上が参加する技術交流会を実施した。当該交流会には、慶應からはKGRI所長、国際センター所長、医学部共創の場、等多岐にわたり参加し、NTTからは持ち株研究所、東日本、NTTデータといった多くのメンバーが参加している。
(2)海外連携
コロラドを中心として米国大学(テキサス大学ダラス校)と現在も連携して、「フルプログラマブルネットワーク」のプラットフォーム実現を目指している。本結果は、以前にも最もアカデミックな日米連携の一つとして、総務省、NICTから評価されるとともに、IEEE(米国電気学会)でもベストペーパーを受賞している。
(3)人材育成
昨年に引き続き、2名の企業の研究者をダブルアポイントメントとして招聘し、大学院の博士の指導を行なっている。この取り組みは博士等の副主査にPhDを持った企業の方に参加していただくことにより、複数の視点から学生を指導するものである。繰り返しではあるが、大学院指導資格、博士指導資格を理工学研究科より付与し、教育への貢献を行なっている

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

論文数:4件
[主たる論文]
Online parameter tuning of flow classification method in energy efficient data center network "HOLST"
Masaki Murakami, Hitoki Kubokawa, Kyosuke Sugiura, Eiji Oki, Satoru Okamoto, Naoaki Yamanaka
Journal of Optical Communications and Networking (JOCN), Vol.12, No.11, pp.344-354
[November/2020]

電子情報通信学会和文論文誌B "Beyond 5G時代のネットワークビジョン -2030年に向けたアーキテクチャとブレークスルー技術の鳥瞰-" 2021年3月号

国際会議件数:13件
[主たる発表]
5G network application: Intelligent route and schedule control network for autonomous driving vehicle
Naoaki Yamanaka, Goki Yamamoto, Satoru Okamoto, Andrea Fumagalli
International Conference on Computing, Networking and Communications (ICNC 2020), No.IT IV-4
[February/2020]

Cyber-Physical System for Autonomous Driving Vehicle considering with Social Welfare
Naoaki Yamanaka, Goki Yamamoto, Satoru Okamoto, Andrea Fumagalli
21st International Conference on Transparent Optical Networks (ICTON2020), No.CTS I-2
[July/2020]

国内研究会件数:11件

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

国際連携は非常に重要な活動であるが、人材交流を行なえなかった。一方、両者でNSF(米国 文科省)とNICT(日本 総務省)のジョイントプロジェクトを実現してもらい、日本全体としても取り組む方向に向かわせたことは大きな進歩である。現在も最低週に1回のオンラインミーティングを慶應とUTDをコアに行い、トピックスに応じて日米の企業/ベンダー/大学が参加し、交流を行なっている。

SDGs

10. 人や国の不平等をなくそう10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを11. 住み続けられるまちづくりを
17. パートナーシップで目標を達成しよう17. パートナーシップで目標を達成しよう

設置期間

2018/04/01~2023/03/31

メンバー

◎印は研究代表者

氏名所属研究機関職位研究分野・関心領域
◎ 山中 直明 理工学部 教授 フォトニックネットワーク、通信プロトコル
大槻 知明 理工学部 教授 通信・ネットワーク工学
斎藤 英雄 理工学部 教授 情報学基礎理論、通信・ネットワーク工学
今井 倫太 理工学部 教授 知能ロボティクス、知能情報学、認知科学
杉本 麻樹 理工学部 教授 ヒューマンインタフェース・インタラクション、エンタテインメント・ゲーム情報学
杉浦 裕太 理工学部 准教授  ヒューマンインタフェース・インタラクション
中澤 仁 環境情報学部 教授 計算機システム・ネットワーク
南澤 孝太 メディアデザイン研究科 教授 ヒューマンインタフェース・インタラクション、知覚情報処理、感性情報学
カイ ステーヴェン クンツェ メディアデザイン研究科 教授 ヒューマンインタフェース・インタラクション、ウェアラブル・コンピューティング
仰木 裕嗣 政策・メディア研究科 教授 スポーツ科学、電子デバイス・電子機器、計測工学、リハビリテーション科学・福祉工学
神武 直彦 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 システムズエンジニアリング、デザイン思考、社会技術システムのデザイン、計算機科学、宇宙システム、IoT
加藤 貴昭 環境情報学部 教授 スポーツ科学、エンタテインメント・ゲーム情報学、実験心理学