医療経済・医療技術評価研究センター
センター概要
いち早く進む高齢化や日進月歩の医療技術の発展の一方で、日本の医療を支える国民皆保険制度は、社会保険料と税で支えられている。持続可能な医療とするためには、効果と費用のバランスを考えることが重要である。幅広い医療技術に関する費用対効果を分析し、政策的な意思決定に情報を与える分野が医療技術評価である。
医療技術評価は、医療統計学、臨床疫学、薬剤疫学、公衆衛生学などの医学、薬学の分野と、医療経済学や公共経済学などの経済学分野の融合分野である。本センターは、学内の様々な部局にいる関連分野の研究者が医療技術評価の研究を進めていくための拠点を形成するものであり、慶應義塾内に広く存在する教員の融合を図り、医療経済、医療技術評価の方法論についての基礎的な研究や実践的な評価プロジェクト、あるいは企業との共同研究等を行って、本分野を先導するとともに、将来的に国の公的分析機関としての役割も担うことを目指す。
キーワード・主な研究テーマ
医療経済学・医療技術評価・費用効果分析・医療政策
2020年度 事業計画
■2019年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標来年度も継続して、患者数が多く健康面でも医療費の面でも社会的な影響大きな、がんや生活習慣病について、費用対効果の基となる医療費やQOLの分析をセンターの研究スタッフ独自のプロジェクトに加え、企業との共同研究も含めて積極的に進めて行く。2019年度から薬剤と医療機器に関する費用対効果の政策応用が始まっているが、これら以外の診療行為や予防医療に関する医療経済分析は、高齢化が進み保健医療ニーズが高まっているのにかかわらず財政制約が強いわが国にとって喫緊の課題であり、今後も政策決定の根拠となるエビデンスがもとめられる。
■2020年度の新規活動目標と内容、実施の背景2020年度は、特に新しい高額な薬剤や医療機器の費用対効果分析を行うことを目標に挙げる。2019年度から始まった薬剤と医療機器に関する費用対効果の政策応用も二年目を迎え、革新的であるが高額な薬剤や医療機器の中で費用対効果評価の対象となる品目が増加することが予想される。
2019年度 事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度費用対効果評価の必要な制度や医療の経済評価そのものについても一般的にはよく知られていないため、2020年2月15日に、費用対効果評価に関する現状と問題点に関する公開フォーラムを開催し、約250名の参加があった。
研究面では、患者数が多く健康面でも医療費の面でも社会的な影響大きな、がんや生活習慣病について、費用対効果の基となる医療費やQOLの分析をセンターの研究スタッフ独自のプロジェクトに加え、企業との共同研究も含めて積極的に進め、学術論文の公刊や学会発表を行った。
公刊論文、学会発表、イベントなど社会貢献の実績
イベント
医療経済評価人材育成プログラム設立記念フォーラム「医療経済評価人材育成プログラム」
【日時】2020 年 2 月 15 日(土)13:30~16:30
【会場】時事通信ホール(東京都中央区銀座5丁目15−8)
【参加者】235名(実績)
- 基調講演 「費用対効果評価の本格導入を迎えた現状と今後の展望」 =岡田就将氏(厚生労働省保険局医療技術評価推進室長)
- 講演1「医薬品・医療機器の費用対効果評価とイノベーション推進に向けた方向性」=中村洋氏(慶應義塾大学大学院 経営管理研究科教授)
- 講演2「費用対効果で臨床現場はどう変わるのか」=中山健夫氏(京都大学大学院医学研究科 教授)
- 講演3「医療経済評価:研究と政策の間の距離」=権丈善一氏(慶應義塾大学商学部教授)
- パネルディスカッション
- <座長>武林亨氏(慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科委員長)
後藤励氏(慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授) - <パネリスト>中村洋氏、中山健夫氏、権丈善一氏
- <座長>武林亨氏(慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科委員長)
センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄
本センターは、医療経済学特に医療経済評価に関する研究人材育成機能を持つわが国初の研究センターである。来年度以降の本格的な研究活動に向けて、今年度はこれまでの所員の研究活動の発表や本センターの活動の広報活動に成果をあげた。
SDGs

メンバー
◎印は研究代表者
氏名 | 所属研究機関 | 職位 |
---|---|---|
◎ 後藤励 | 経営管理研究科 兼 健康マネジメント研究科 | 准教授 |
武林亨 | 医学部 | 教授 |
宮田裕章 | 医学部 | 教授 |
井深陽子 | 経済学部 | 教授 |
杉山大典 | 看護医療学部 | 教授 |
漆原尚巳 | 薬学部 | 教授 |
佐藤泰憲 | 医学部 | 准教授 |
嶋本恭子 | 健康マネジメント研究科 | 特任講師 |
阿久根陽子 | 健康マネジメント研究科 | 特任助教 |
藤戸香理 | 健康マネジメント研究科 | 特任助教 |
加藤弘陸 | 健康マネジメント研究科 | 特任助教 |