個人と組織のウェルビーイングを向上させるサービスデザイン手法の開発
創造
研究概要

経済や社会が成熟し、人びとの幸福をGDPや所得だけではなく、ウェルビーイングによって評価する動きが世界的に広がっている。特に日本では働き方改革やコロナ禍への対応から、従業員のウェルビーイングとパフォーマンス(生産性等)の両立と向上が大きな課題となっている。本研究では、行動デザインとウェルビーイングのデザイン、サービスデザインのアプローチを効果的に組み合わせることで、個人と組織のウェルビーイング充足を促進する新たな統合的デザイン手法を開発する。
2023年度事業報告
2022年度の活動において実施したウェルビーイング向上のためのデザイン技法とサービスデザイン手法の統合可能性の検討結果を踏まえて、新規の従業員ウェルビーイング向上支援デザイン手法を開発し、実際の企業組織の業務に関わる基本的心理欲求のサポートに応用することで有効性を評価した。活動計画では、適用する業務プロジェクトの選定、選定した業務プロジェクトに応じたデザイン手法の開発、業務プロジェクトを通じた開発手法の評価というプロセスを想定し、その計画に沿って本年度の活動を進めることができたが、手法検証に想定よりも時間を要したため、期間を2ヶ月延長した。研究成果として、開発した手法の特性や意義を国際学会と国内学会で報告しているが、本手法の実務への適用対象の設定と効果検証方法については課題も発見され、今後の研究展望としてまとめることができた。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)・The International Conference of Serviceology 2023にて研究成果を発表(国際)
・サービス学会国内大会 2024にて研究成果を発表(国内)
・Service Design Network Japan主催Service Deisgn Camp 2024にて従業員のウェルビーイング向上に資するデザインワークショップ開催(2024年3月都内)
本研究は慶應義塾大学と大日本印刷株式会社との産学共同で進められ、大学側は、サービスデザインおよび行動変容の研究を専門とする研究代表者1名とサービスデザインの実践スキルを持つ研究員一名が研究を計画、推進する役割を担い、特に関連研究のレビュー、手法開発、手法検証ワークショップの計画と実施において活動を主導した。一方、大日本印刷株式会社サービスデザインラボの研究メンバー3名は情報イノベーション事業やサービスデザイン手法のビジネス応用のスキルと経験を持ち、本研究で共同開発した手法のビジネス業務での応用可能性の検討において知見を提供するとともに、実際の開発手法の有効性評価では、手法の特性を踏まえた適用業務の選定や、従業員参加のワークショップやアンケート調査において主要な役割を担った。総じて、大学と企業の研究メンバーの連携により、研究の活動目的に対して効果的にプロジェクトを運営することができた。
■プロジェクト活動を通じて特に成果を挙げた事柄2022年度の研究成果を発展させ、新規の手法開発を行った。
研究成果をThe International Conference of Serviceology 2023およびサービス学会国内大会 2024にて発表した。
Service Design Network Japan主催Service Deisgn Camp 2024にて多数の企業のビジネスパーソンを対象にワークショップを開催し、研究成果の発信と有効性評価を行った。
SDGs






プロジェクトメンバー
プロジェクトメンバー・所員について◎印は研究代表者
氏名 | 所属研究機関 | 職位 | 研究分野・関心領域 |
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◎ 武山 政直 | 経済学部 | 教授 | 経済地理、サービスデザイン |
津久井 かほる | KGRI | 臨時職員 | サービスデザイン |