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【開催報告】International Centenarian Consortium 2021 online conference(2021.6.29開催)

2021.08.16
International Centenarian Consortium 2021 online conferenceを開催

1989年から行われているInternational Centenarian Consortium (ICC) meetingは、本来であれば2020年6月に日本で行われる予定でしたがCOVID19パンデミックのため1年延期となり、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター及び大阪大学人間科学研究科の共同主催で2021年6月22日〜2021年7月3日にオンラインで行われました。その中で、6月29日(火)日本時間21:00〜24:00にICC2021 online conferenceが行われ、約80人の世界中の長寿・百寿者の研究者が参加して行われました。

まず開催にあたり、広瀬信義元特別招聘教授 (慶應大)及びICCのリーダーであるPeter Martin教授(Iowa State University)から、コロナパンデミックによるonline conferenceでの開催の経緯、ICC歴史などとともに開催の挨拶をいたしました。

次に新井康通教授(慶應大)の座長によるBiomedical Sessionが行われ、以下の3人の著名な研究者による講演がありました。

  • 本田賢也教授(慶應大)
    "Identification of unique bile acid-metabolizing bacteria from the microbiome of centenarians" 百寿者の腸内で特徴的に上昇が見られるある胆汁酸が悪性腸内細菌に対し抗菌活性を有しており、長寿との関連が期待される講演でした。
  • Thomas Perls教授(Boston University, USA)
    "Centenarian Studies: Where are we heading?" 最近の長寿・百寿者研究について様々な角度からまとめ、今後の百寿者研究の方向性についての講演でした。
  • Henne Holstege教授(Amsterdam University Medical Center, The Netherlands)
    "The biomaterials collected from the 100-plus Study cohort of self reported cognitively healthy centenarians: an integrative approach to investigate the molecular mechanisms underlying escape of cognitive decline" オランダの百寿者に対する研究で、特に認知機能と脳組織的研究を組み合わせた研究について講演いただきました。

次に、権藤恭之教授(大阪大)の座長によるPsychosocial Sessionが行われ、以下の3人の著名な研究者による講演がありました。

  • Perminder Sachdev教授(The University of New South Wales, Australia)
    "Cognition, function and prevalent dementia in Centenarians and Near-Centenarians: an individual participant data (IPD) meta-analysis of 18 studies" Sachdev教授及びそのグループが主催する18の百寿者認知機能研究についてメタ解析を行い、加齢とともにリスクが上昇すること、女性の方がリスクが高いことなど、様々な百寿者の認知機能に関する研究について講演いただきました。
  • Daniela S. Jopp教授(University of Lausanne, Switzerland)
    "Vulnerability and Resilience: SWISS Centenarians' Experience of the COVID-19 Pandemic" Jopp教授及びその研究グループが行っているSWISS100 studyで40人の百寿者及びその家族への電話アンケートの結果について講演がありました。
  • Oscar Ribeiro博士(University of Aveiro, Portugal)
    "Satisfaction with life and survival in centenarians" Ribeiro博士が主催する2つのPortuguese longitudinal studiesでの83人の百寿者に対する満足度について講演いただきました。

次に新井康通教授(慶應大)の座長によるPresentation Awardセッションが行われ、新規参加者としてKwangsung Park教授(Chonnam National University, South Korea)、Student Awardとして、Dr. Giulia Accardi(University of Palermo, Italy)、Dr. Niccolo Tesi(Amsterdam UMC, The Netherlands)、Dr. Rotem Arieli(Iowa State University, United States)が10分の発表を行い、活発な質疑を行いました。

最後のセッションでは、次回ICC meetingのアナウンスとして、Ingmar Skoog教授(University of Gothenburg, Sweden)が、来年の5月25日〜28日にスェーデン・ヨーテボリ近郊のMarstrandで行われることがアナウンスされました。そして最後に権藤恭之教授による閉会の辞で終了しました。

3時間と短い時間であるが6題のキーノートスピーカー講演と4題のアワードセッションに加え、多くの質疑応答がなされ、密度の濃い3時間でありました。ヨーロッパ、アメリカ、オセアニア、アジアと多くの地域から同時に参加し議論できるオンラインカンファレンスはとても良いツールであると認識すると同時に、やはりCOVID19パンデミック後に対面でのミーティングを行いたいという多くの人の願いを感じるカンファレンスとなりました。スポンサーを引き受けていただきました、Keio Global Research Institute (KGRI), Osaka University Graduate School of Human Sciences Center for collaborative future creation project aging and death study Lab (CCFC), The NOVARTIS Foundation (Japan) for the Promotion of Science, 参加者の方々に感謝いたします。


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