KGRIについて

突出した専門性の協働により
グローバル課題の解決にインパクトを

慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)は、2016年11月に、学部・研究科横断的な全塾的研究組織として設置されました。KGRIは、一学問領域や一国・地域におさまらない学際的、国際的連携研究を推進し、その研究成果を国内外へ発信するとともに、さらなる連携研究を促進することを目的としています。
この目的を達成するために、KGRIには、外部資金やKGRI内助成により、40を超えるセンタープロジェクトが設置され、基礎研究からグローバルな社会課題の解決を目指すものまで、さまざまな研究が進められています。
2022年、慶應義塾は、「未来のコモンセンスをつくる研究大学」として発展することを目標に掲げ、KGRIは、これまでの大学内の研究組織としての機能に加え、大学全体における研究力の向上のための仕組み作りを行うこととなりました。2024年度からは、J-PEAKS事業により、4つのユニットを創設し、それぞれの担当副所長のリーダーシップの下、URA、専門員、職員を雇用して、大学全体の研究力向上のための仕組みづくりを進めます。





未来のコモンセンスをつくる研究大学

人々の共通認識であるコモンセンスは、時代とともに変遷することがあります。今まで非常識と思われていたことが、科学技術の進歩や社会的価値観の変化とともに常識となることも珍しくありません。一方で、社会や地域における格差が広がり、国際紛争や権力の濫用によりいたましい人権侵害が繰り返される現在進行形の人類の歴史の中で、グローバル社会の構成員である私たちが、人間の尊厳を尊重し合い、だれもが幸福を追求する権利があることを再確認することの重要性も増しています。私たちが現在常識だと思っている価値観や科学的知識を、それがコモンセンスだと無批判に受け入れることなく、その常識がつくられた歴史や背景を学び、批判的検証や反証を試み、価値観の対立する者同士も対話や討論を重ね、身近な問題からグローバル課題まで、それを解決するために必要な科学的発見や方法論の探究を行うことで、先人たちが行ってきたように私たちも、時代が変わっても揺るがないコモンセンスを再確認しながら、新たな真理の発見や価値観の創出を行い、未来のコモンセンスをつくっていくことができるでしょう。慶應義塾が、そんな研究が次々と活発に行われる大学として発展していける仕組みづくりを、KGRIは行っていきます。



所長メッセージ

kimijima-2022

20世紀は学問が細分化し、それぞれが著しいスピードで発展することで多くの成果を上げました。その一方で、あまりにも細分化しすぎたため、かえって全体が理解しにくくなってしまうという矛盾を含むこともでてきました。その反省と必要性から、21世紀に入り様々な専門分野から学際的、統合的、システム的なアプローチが試みられています。

慶應義塾は、福澤諭吉先生が唱えた「実学の精神」を教育・研究の理念としてこれまで取り組んできました。「実学」の解釈は様々ですが、その実践には学際的アプローチが欠かせないことはいうまでもありません。学問のための学問にとどまらず、学問を追究していくと同時に実社会にそれを還元していく教育・研究の姿勢が、今改めて問われてきています。そして、慶應義塾は、「実学」の伝統を糧に21世紀の社会を先導していくミッションを担っています。

kimijima-2022

そのような学問の変革の中、KGRIは2016年に設置されました。KGRIは、これまで「長寿(Longevity)」「安全(Security)」「創造(Creativity)」クラスターを3つの研究の柱とし、慶應義塾の学際的な世界トップレベルの研究を牽引してきました。2022年からは、「未来のコモンセンスをつくる研究大学」を目指して、世界に開かれたグローバルな研究環境を整備し、次世代を担う若手リーダーの育成も視野に入れて取り組んでいきます。

KGRIの活動を介して、近い将来「文理融合」「学部横断」といった言葉が必要のない、むしろそれらが当たり前の学際的な環境を整えていきたいと思います。そのような環境で学んだ学生たちが世界へとはばたいていく姿を想像してみてください。とても素晴らしいことだと思います。

慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート
所長 君嶋 祐子





所長・副所長の紹介

所長
君嶋 祐子(法学部 教授)

副所長
星野 崇宏(経済学部 教授)、中川 種昭(医学部 教授)、宮本 憲二(理工学部 教授)、廣瀬 陽子(総合政策学部 教授)、山本 龍彦(法務研究科 教授)

歴代の所長・副所長
KGRIのプロジェクトメンバー、所員について