音楽科学研究センター

 

センター概要

音楽科学研究センター(Research Center for Music Science: RCMuS)は、音楽を科学的に研究することを目的としたセンターである。音楽の未知のために、未知の音楽のために ー For the Future of Music, For the Music of the Futureー 」の理念のもと、音楽の起源や進化、音楽の普遍性や多様性、音楽が知覚・認知・生成・創造される原理、音楽が生物の脳・心・身体にもたらす効用、音楽が個人・集団・社会に及ぼす影響などを科学的に解明し、得られた知見を世に還元することを目指し、音楽科学に関する研究・教育を推進する。

設置目的及び活動計画

【設置目的】

音楽は、古代から現代に至るまで、人類の文化や社会に深い影響を与えてきた芸術である。しかし、音楽がどのようにしてヒトの脳・心・身体に影響を与え、社会においてどのような役割を果たすのかについては、依然として多くの謎が残されている。現在、音楽の科学的理解が求められる背景には、デジタル技術の進展や社会の急速な変化がある。音楽がもたらす情動的・社会的な効果は、現代社会において個人のウェルビーイングや社会の結束力を強化するための重要な要素となり得る。このような状況を踏まえ、「音楽の未知のために、未知の音楽のために ー For the Future of Music, For the Music of the Futureー 」という理念のもと、音楽の科学的解明を進めることを目的として、音楽科学研究センター(Center for Music Science: CMS、以下CMS)を設立する。本センターは、音楽神経科学、音声学、精神神経科学、神経美学、計算比較音楽学など、多様な学問分野が連携し、音楽の起源や進化、音楽の普遍性や多様性、音楽が知覚・認知・生成・創造される原理、音楽が生物の脳・心・身体にもたらす効用、音楽が個人・集団・社会に及ぼす影響などを明らかにすることを目指す。この目的を達成するためには、産官学民が一体となり、研究者、アーティスト、企業、行政、地域社会が共に協力し合うことが不可欠である。特に、研究者とアーティストが音楽を奏でるように連携し、科学的知見を創造的な実践へとつなげていくことが求められる。さらには音楽に関する国際的な研究を推進することで、グローバルな視点から音楽の存在価や意義・役割・効用等を再評価し、音楽の本来の力を社会に還元することを目指す。教育研究においても、アーティストとの協働を通じて、音楽の本来の力を社会・未来に伝えることを目標とする。

【活動計画】

CMSの具体的な活動計画として、すでに採択されている下記研究プロジェクトの推進を起点としつつ、設置の目的と理念を踏まえた革新的な音楽科学研究を展開する。具体的には、JST共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)「若者の生きづらさを解消し高いウェルビーイングを実現するメタケアシティ共創拠点」において、音楽がどのようにして若者の心にポジティブな影響を与え、ウェルビーイングを向上させるかを科学的に解明し、その知見に基づいた新たな音楽コンテンツの研究開発を行う。NEDO「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、体性感覚・聴覚インタラクションに基づく運動支援プラットフォームの構築とパーキンソン病患者の歩行障害の緩和に向けて、スマートフットウェアを用いたインタラクティヴな音楽身体化システムの研究開発を推進する。JST戦略的創造研究推進事業(さきがけ)では、多感覚グルーヴ感創発の機序解明と音楽芸術表現への応用に関する研究を推進し、音楽の科学的探究とアート表現を融合する。JSPS科研費 学術変革領域研究(A)「マテリアマインド-物心共創人類史学の構築における認知科学と人類史学との協働による創造的人工物生成過程の解明」では、物心共創の観点から音楽芸術と人類の情動の起源を解き明かすことを目指して研究を推進する。これら研究プロジェクトの具体的推進を起点としつつ、設置理念を踏まえた音楽科学研究を広く展開し、国内外における音楽科学を先導する。

SDGs

3. すべての人に健康と福祉を 3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに 4. 質の高い教育をみんなに
8. 働きがいも経済成長も 8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう 10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを 11. 住み続けられるまちづくりを
16. 平和と公正をすべての人に 16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう 17. パートナーシップで目標を達成しよう

設置期間

2024/12/21~2027/03/31

メンバー

◎印は研究代表者

氏名 所属研究機関 職位 研究分野・関心領域
◎ 藤井 進也 環境情報学部 准教授 音楽神経科学
川原 繁人 言語文化研究所 教授 音声学
北山 陽一 環境情報学部 特別招聘教授 うた
サベジ パトリック 環境情報学部 准教授 計算比較音楽学
脇田 玲 環境情報学部 教授 アート・ヴィジュアライゼーション
内田 裕之 医学部 教授 精神神経科学
中島 振一郎 医学部 専任講師 精神神経科学
川畑 秀明 文学部 教授 神経美学
粂川 麻里生 文学部 教授 文化史・ポピュラー音楽
魚住 勇太 政策・メディア研究科 特任講師 コンピューターミュージック
小林 良穂 政策・メディア研究科 特任講師 音楽音響プログラミング
鵜野 裕基 政策・メディア研究科 特任助教 バイオメカニクス・身体運動科学
近藤 聡太郎 環境情報学部 訪問研究員(日本学術振興会) 音楽とリズム