宇宙における心と体のウェルビーイング研究センター

   

センター概要

目的と背景 近年、ウェルビーイングに関連する研究は数多く研究されているが、定性的な評価であり、定量的に示された研究は行われていない。また、ウェルビーイングに関連する要素は多くあること、さらには人によってその要素が異なることから、定量化が難しいとされてきた。一方で、我々は現在ホルモンとウェルビーイングについての研究を行っており、脳波・脈波だけを使ってホルモンの値を推定する方法を構築しつつある。今回取り組む内容はウェルビーイングに関連すると考えられるホルモン(セロトニン・ドパミン・オキシトシン)に注目し、これらをウェアラブルセンサなどを用いた簡易計測で継時的に計測し、定量化できる方法を探る(フェーズ1)。さらに、得られた定量値の変動と生活・習慣などのアンケートを統合的に評価するための可視化方法を研究する(フェーズ2)。 先にも述べたが、既に我々は別の研究でホルモン(コルチゾール)と脳波の関連性を調べ上げ、脳波だけでコルチゾールの変動を捉えることに成功している。これらの知見を踏まえ、上記に挙げたホルモン(セロトニン・ドパミン・オキシトシン)と脳波・脈波の影響も同様の方法で調べ上げ、最終的には脳波あるいは脈波だけで先のホルモンの推定を行う。また、ウェルビーイングのアンケートとホルモンとの相関性を調べ上げることで、脳波や脈波だけでホルモンの推定を行い、ウェルビーイングの状態を可視化したいと考えている。そしてこの先の近未来において、人類は宇宙での生活もあり得ると考えており、宇宙空間におけるホルモンの状態を知りつつ、宇宙で心の状態を常にモニタリングすることが望まれていることから、本研究を行う意義は大きいと考えている。

2022年度活動計画 フェーズ1:ウェアラブルセンサを用いて脳波・脈波からホルモン(セロトニン・ドパミン・オキシトシン)の状態を推定する方法を探る。 フェーズ2:得られた定量値の変動と生活・習慣などのアンケートを統合的に評価するための可視化方法を研究する。これらを宇宙空間などを考慮してJAXAやNASAなどの協力を得ながら進めていく。

2023年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標

ホルモン計測と体調との大規模アンケートをまずはウェブ調査を行うことで500名のウェルビーイングとホルモンとの主観アンケートを実施、その後体調並びにパフォーマンスとの相関性を取得する。

■2023年度の新規活動目標と内容、実施の背景

宇宙空間の心理に関連する国内イベント、ホルモン計測とウェルビーイングに関連するイベント、宇宙・ウェルビーイングに関連するイベントをそれぞれ1回開催予定。

2022年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

2022年度はフェーズ1:ウェアラブルセンサを用いて脳波・脈波からホルモン(セロトニン・ドパミン・オキシトシン)の状態を推定する方法を探った。この結果、生体信号である脳波・脈波と同時計測で血中のホルモン値を4時間おきに計測することが望ましいことを確認し、具体的な実験プロトコール作成に至った。フェーズ2:得られた定量値の変動と生活・習慣などのアンケートを統合的に評価するための可視化方法を研究する。これらを宇宙空間などを考慮してJAXAやNASAなどの協力を得ながら進めていくという目標を掲げたが、合計6回の全体MTGでJAXAの方々とのMTGを行うことができた以外は具体的な実験計画などへの適用などを行うことができなかった。このため、達成度としては8割程度と考えている。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

Brian Sumali, Joto Yoshimoto, Hiroto Kobayashi, Mei Yamada, Tetsuya Maeda, and Yasue Mitsukura*, "A Study on Legumes-based Noodles as Staple Food for Office Workers", Frontiers of Nutrition, Vol. 9, pp. 807350, Jan. 2022


■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

ウェアラブルセンサを用いて脳波・脈波からホルモン(セロトニン・ドパミン・オキシトシン)の状態を推定する方法を探った。この結果、生体信号である脳波・脈波と同時計測で血中のホルモン値を4時間おきに計測することが望ましいことを確認し、具体的な実験プロトコール作成に至った。これについて、さまざまな分野の人の集まりであったことがこの結果に至った要因であると考えている。

SDGs

1. 貧困をなくそう1. 貧困をなくそう
3. すべての人に健康と福祉を3. すべての人に健康と福祉を
5. ジェンダー平等を実現しよう5. ジェンダー平等を実現しよう
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
12. つくる責任 つかう責任12. つくる責任 つかう責任
17. パートナーシップで目標を達成しよう17. パートナーシップで目標を達成しよう

設置期間

2022/10/01~2024/03/31

メンバー

◎印は研究代表者

氏名 所属研究機関 職位 研究分野・関心領域
◎ 満倉 靖恵 理工学部 教授 知能情報学、感性情報学、電子デバイス・電子機器
泰岡 顕治 理工学部 教授 分子動力学
安井 正人 医学部 教授 水分子の生命科学・医学、薬理学