モビリティカルチャー研究センター

   

センター概要

本センターでは安心・安全で、利便性が高く、環境に配慮したモビリティの構築に向けた研究を行う。技術基盤の進歩と社会基盤の変化に対応したアプローチが必要である。モビリティの利用者が誰か、どのような地域で、何が目的かによって様々な解があり得る事はMaaS(Mobility as a Service)や Shared Economy の急速な発展から知ることができる。自治体との連携協定、関連団体との長期間の共同研究も含めて、本センターでは主に以下のような研究テーマと活動に取り組む。
(1) 自動運転システムの導入に関する基盤研究
(2) ITS による道路空間の高度化と道路交通管理
(3) IoTに関連した横断的分野の研究
(4) ITS等における国際標準化活動

2023年度事業計画

■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標
2022年度に実施した以下の課題に引き続き取り組む。
  1. 自動運転システムの導入に関する基盤研究
  2. ITSによる道路空間の高度化と道路交通管理
  3. IoTに関連した横断的分野の研究
  4. ITS等における国際標準化活動
(1) については、自動運転車と他の交通参加者とのコミュニケーション技術に関する研究および地域連携を想定した実装・検討を進める。またODDおよびこれを支援すると考えられるISAD(Infrastructure Support Levels for Automated Driving)の調査研究を継続する。
(2) については、首都高速道路(株)との共同研究(自動運転車両と一般車両の混在交通の分析)を継続する予定である。また(一財)ITSサービス高度化機構(ITS-TEA)から5G時代のITS情報通信システムに関する調査研究を継続する予定である。
(3) では、多様なサービスや事業が提案されかつ進められているMaaS(Mobility as a Service)の特に中山間地域や原発被災地への適用を検討する。
(4) では、前年度と同様にISO/TC204、ITU-T、ITU-R、情報通信技術委員会(TTC)での国際標準化策定の支援活動を行う。

■2023年度の新規活動目標と内容、実施の背景

自動運転車両の普及が想定されているものの、自動運転車両と一般車両の混在期間が当面継続することが想定されるため、その間の交通安全対策が必要不可欠である。交通安全対策のための路車間通信・路車協調などの道路インフラの整備・活用も望まれるが、自動運転車両のみへの対応(投資)は、料金負担の公平性などの観点から、自動運転車両だけでなく、一般車両にもサービスが享受できる対策を踏まえた、安全性や利便性の向上を図る技術展開、道路インフラ整備を進める必要がある。これらの背景を踏まえた上で、自動運転車両と一般車両の混在期間中における高速道路区間の安全性の確保ならびに自動運転運行に関する区間規制など道路管理者の観点からの技術開発・運用指針に資する研究について、また安全支援の観点から、路車間通信・路車協調の種別、自動運転システムの仕様、ヒューマン・マシン・インタフェース設計などを考慮したドライビングシミュレータ実験やそれらのシステム構成に基づいたミクロシミュレーションによって予想される交通流への影響・評価の研究についても新たに展開する。

2022年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度
  1. 「自動運転システムの導入に関する基盤研究」に関しては、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/自動運転の高度化に則したHMI及び安全教育方法に関する調査研究」にて、自動運転車と周囲交通参加者とのインタラクション・コミュニケーション方法として車両挙動と外向けHMIによるプロトタイプを製作して中山間地域の2拠点にて実証実験を実施し、外向けHMIを含めたコミュニケーションの設計推奨を検証した。日独連携によるコミュニケーション研究の意見交換、ワークショップ等を実施し、Ulm大学、DLR(ドイツ航空宇宙センター)とともに自動運転車の車両挙動と外向けHMIによるコミュニケーション認識の日独比較の共同研究を実施した。電磁誘導線の埋設走路を様々な車両の自動運転に活用するための研究や、自動運転の実用化に必須と考えられるODD(Operational Design Domain)の調査研究を開始し、後者に関する調査研究を(一財)道路新産業開発機構(HIDO)より受託した。
  2. 「ITSによる道路空間の高度化と道路交通管理」に関しては、首都高速道路(株)との共同で自動運転車両と一般車両との混在交通時の交通流に関する基礎的研究を継続実施した(共同研究受託)。また、(一財)ITSサービス高度化機構(ITS-TEA)より「自動運転実用化に対応する道路情報システムの高度化に関する調査研究」を受託した。自動車間の協調認識のための通信プロトコルと協調走行計画の研究を進めた。また、協調型 ITS 通信技術(V2X)の動向や,Beyond 5G に向けた通信技術など自動車と通信による情報通信システムの研究を継続している。
  3. 「IoTに関連した横断的分野の研究」に関しては、IoTやAI技術を応用したIoT情報通信ネットワークシステム、ドメイン特化型ネットワーキングプラットフォーム、データ連携基盤の研究を継続した。
  4. 「ITS等における国際標準化活動」に関しては、ISO/TC204、ITU-T、ITU-R、情報通信技術委員会(TTC)での国際標準化策定支援を継続した。また、ITS、自動運転用のBigData作成の基盤研究としてAIを活用したメタデータの構築に関する研究に関して、ITSオントロジーを利用した標準化活動支援システムの構築に関する研究を継続した。IEEE P1451.1.6チェア、IEEE P2992チェアとしてIoTやその応用分野であるスマート農業に関連する技術標準化に取り組んだ。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

・公刊論文 10件

  1. Masahiro Taima and Tatsuru Daimon, Differences in pedestrian behavior at crosswalk between communicating with conventional vehicle and automated vehicle in real traffic environment, Safety, 9(1), 2023
  2. Masashi Kunibe, Rei Yamazaki, Taichi Murakawa, Hiroshi Shigeno, "Adaptive Message Prioritization for Vehicular Cooperative Perception at Target Intervals," IPSJ Journal of Information Processing, Vol.31, ,Feb. 2023 (to be appeared).
  3. Masaki Murakami, Takashi Kurimoto, Satoru Okamoto, Naoaki Yamanaka, and Takayuki Muranaka "Networking Experiment of Domain-specific Networking Platform Based on Optically Interconnected Reconfigurable Communication Processors," IEICE Transactions on Communications, (accepted)
  4. (他7件)

・学会発表 国際会議 6件、国内会議 4件

  1. 西村駿、大前学、地図ベースの自動運転シャトルバスの衝突防止のための操舵角制限制御に関する研究、第20回ITSシンポジウム2022講演論文集、2-A-07(2022年12月)
  2. (他9件)

・展示・イベント等 5件

  1. Hiroaki Nishi, "Sustainable development of a data-driven smart city through Public-Private Partnerships, Saitama Sustainable Cities Summit, E-KIZUNA Global Summit, 22nd-24th, Nov. 2022, Saitama (https://ekizuna-global.jp/en/).(パネルディスカッション)(2022年11月23日、さいたま市)
  2. (他4件)
■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

(2022年度)
・「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/自動運転の高度化に則したHMI及び安全教育方法に関する調査研究」を継続し、多様な視点に基づくコミュニケーション設計・教育等に関する研究成果、特に外向けHMIの設計推奨等を検証するために、内閣府、国土交通省、地方自治体、その他関係機関と連携して中山間地域を拠点とした実証実験を実施した。
・自動運転車と歩行者のコミュニケーション研究に関して、日独連携を活かした国際比較実験を実施し、コミュニケーション認識の特徴・差異について検討した。
・ITS関連公的機関から「ITS及び道路交通環境・エネルギー等に関する調査・研究」((一財)道路新産業開発機構委託研究)、「自動運転実用化に対応する道路情報システムの高度化に関する調査研究」((一財)ITSサービス高度化機構委託研究)、「首都高速道路における自動運転普及への対応についての共同研究」(首都高共同研究)を受託し、それぞれ具体的な項目を定めて研究・調査を進めた。

センター オリジナルWebサイト:

モビリティカルチャー研究センター

SDGs

11. 住み続けられるまちづくりを11. 住み続けられるまちづくりを

設置期間

2019/07/01~2024/03/31

メンバー

◎印は研究代表者

氏名所属研究機関職位研究分野・関心領域
◎ 大門 樹 理工学部 教授 高度道路交通システム(ITS)、ヒューマンファクタ分析、ヒューマンインタフェース設計・評価、脳波・生体信号処理、配車配送計画問題の解法
重野 寛 理工学部 教授 コンピュータネットワーク、モバイルコンピューティング、ユビキタスコンピューティング
西 宏章 理工学部 教授 計算機システム、社会システム工学・安全システム、通信・ネットワーク工学
大前 学 環境情報学部 教授 機械力学・制御、知能機械学・機械システム、自動車工学
山中 直明 理工学部 教授 フォトニックネットワーク、通信プロトコル