共生知能創発社会研究センター
センター概要
高度スマート社会の実現を目指すSociety5.0の次のステップとして、人間を起点とした枠組みとしてSociety5.0を強く推進する取り組みである"Humanity2.0"を提唱し、Human in the loopにて実空間とサイバー空間が融合された次世代社会空間の実現に向けた、基礎研究から実応用までを目指す。社会は人間活動から創発される実態なき概念であり、社会への過度な注視は肝心の人を見えなくしてしまう。社会は多様な個人の集合体として結果的に創発されるものであり、人間中心として捉える必要がある。本センターは、これまでの人類をHumanity1.0として、次世代型AIとの共生により、人類をHumanity2.0にアップグレードすることを究極の目的とする。
2022年度事業計画
■前年度より継続する活動内容について、継続する背景・根拠と目標研究は高いアクティビティを継続させ、メディアでの活動をさらに加速させたい。また4月立ち上げの共知塾の多くの入会による安定した運営を目指す。
■2022年度の新規活動目標と内容、実施の背景大きな活動としては、4月から共知塾というコンソーシアムを立ち上げる計画である。趣旨は以下のようなものとなる。
「共知塾」設立趣意書
超少子高齢化に伴う労働力の補填や、介護対策、地域活性化、そして、With Covid-19社会への適応という要求も追加されての社会のDX化が求められる現在、巨大化及び複雑化が加速しているサイバー空間を起因とする混乱は、人類にとってもはやサイバー空間に留まらず、実生活全般への脅威となっている。そして、本来有用な道具であるはずのITに人が翻弄される状況が加速的に進行しており、人間社会崩壊となりかねない状態にあり、現時点でのAI技術もこの流れを加速させる要因となってしまっている。
このような状況において、膨大な実空間の情報をサイバー空間に取り込み、AIによる統合的な処理を行い高い効率性や生産性の実現による超スマート社会の実現を目指すSociety 5.0は、日本が進むべき正しい方向ではあるものの、社会(Society)は一人一人の社会活動から創発される実体のない概念に過ぎず、社会への過度な注目は肝心の個々人を覆い隠してしまう懸念も併せ持っている。注目すべきは社会(Society)ではなく、社会を構成する一人一人個性の異なる人間でなければならない。
この混乱した状況を元に戻すことは不可能であろうが、新たな調和へアップグレードすることはできる。その鍵となるのが、「人」と「人から信頼された次世代AI」との共生社会の実現である。そして、人と次世代AIとの共生が成熟した、実社会とサイバー空間が融合した社会の実現を目指すことを目的として、共生知能創発社会研究センターが設立された。
「共知塾」は、共生知能創発社会研究センターに設置された勉強会であり、多様な産学官分野に所属する会員で構成され、人とAIが共生する社会の実現に向けた学際的な議論を行うことを目的とした、「お互いを知る場」であり、「偶発的発見の場」であり、「現場を知る場」であり、これを通して「イノベーションを起こす場」である。
2021年度事業報告
■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度センター運営の基盤となる各自の国プロでの研究は各自にて着実に実施されている。NEDO人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業においてもステージゲートを通過し、3年間の本格ステージに進むことが決定された。センターとしての活動としては、主張するHumanity2.0についての広報活動として、
- JSTサイエンスアゴラにて「人とAIとの共生:日本型AIにおける人間中心とは?」セッションを開催
- 書籍「RE-END 死から問うテクノロジーと社会」での寄稿
- 「AI×クリエイティブで自走せよ! ~ AI研究の第一人者・栗原教授に聞く 新時代に求められるエンジニア像とは?」と題しての雑誌掲載
- 全脳アーキテクチャシンポジウム [オンライン開催] 人と共存する脳型AIを目指して、と題したイベントの企画
- 学術雑誌『情報通信政策研究』第4巻第2号に「AI脅威論の正体と人とAIとの共生」への寄稿
- 人工知能学会全国大会(第35回)にて企画セッションKS-02「共生インタラクションとIoTが拓く未来」を企画 など
また、産学連携においても、2件の共同研究を具体化させるに至っている。
さらに、「共知塾」と命名した産官学を巻き込む勉強会立ち上げ構想が生まれ、2022年度4月から実際に立ち上げるといった新展開も大きな成果である。
■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)
- 2021年11月3日:JSTサイエンスアゴラにて「人とAIとの共生:日本型AIにおける人間中心とは?」セッションを開催(オンライン)
- 2021年8月16日:第6回全脳アーキテクチャシンポジウム [オンライン開催] 人と共存する脳型AIを目指してを開催(オンライン)
- 2021年6月8日:2021年度 人工知能学会全国大会(第35回)にて企画セッションKS-02「共生インタラクションとIoTが拓く未来」を開催(オンライン)
- 2022年2月28日:慶應義塾大学、ソフトバンク株式会社、ネットワンシステムズ株式会社の3社合同・産学連携オンライン(Web)セミナー「人とAIとの共生によるAfterコロナ社会へアップグレード」を開催(オンライン)
■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄
人とAIとの共生や、そのための重要な技術の1つである社会シミュレーション、といった考え方への注目が明らかに高まりつつあり、当センターメンバーの研究活動に加え、一般向け講演や、メディア露出なども貢献に寄与している。
イベント:
慶應義塾・共知塾(第十二回)(2023.5.26開催)慶應義塾・共知塾(第十一回)(2023.4.27開催)
地域IoTと情報力コンソーシアムによるシンポジウム (2023.3.27開催)
慶應義塾・共知塾(第十回)(2023.3.22開催)
慶應義塾・共知塾(第九回)(2023.2.24開催)
慶應義塾・共知塾(第八回)(2023.1.19開催)
慶應義塾・共知塾(第七回)(2022.12.14開催)
慶應義塾・共知塾(第六回)(2022.11.25開催)
慶應義塾・共知塾(第五回)(2022.10.13開催)
慶應義塾・共知塾(第四回)(2022.9.14開催)
慶應義塾・共知塾(第三回)(2022.7.22開催)
慶應義塾・共知塾(第二回)(2022.6.23開催)
SDGs






設置期間
2021/04/01~2025/03/31メンバー
◎印は研究代表者
氏名 | 所属研究機関 | 職位 | 研究分野・関心領域 |
---|---|---|---|
◎ 栗原 聡 | 理工学部 | 教授 | 人工知能、複雑ネットワーク科学、計算社会科学 |
今井 倫太 | 理工学部 | 教授 | 知能ロボティクス、知能情報学、認知科学 |
斎藤 英雄 | 理工学部 | 教授 | 情報学基礎理論、通信・ネットワーク工学 |
藤田 康範 | 経済学部 | 教授 | 応用経済理論、経済政策 |
吉村 公雄 | 医学部 | 専任講師 | 医療政策・管理学、疫学、臨床疫学、遺伝疫学、生物統計学 |
中澤 仁 | 環境情報学部 | 教授 | 計算機システム・ネットワーク |
山本 龍彦 | 法務研究科 | 教授 | 憲法 |
中西 泰人 | 環境情報学部 | 教授 | マルチメディア・データベース、感性情報学 |
見上 公一 | 理工学部 | 准教授 | 科学社会学・科学技術史(科学技術社会論) |
岡田 有策 | 理工学部 | 教授 | 社会システム工学・安全システム |
大澤 博隆 | 理工学部 | 准教授 | 情報通信/知覚情報処理 (知覚情報処理・知能ロボティクス) |
岨野 太一 | 理工学研究科 | 特任助教 | ヒューマンエージェントインタラクション |
田幡 直樹 | KGRI | 共同研究員 | 金融、金融政策、合意形成 |
筒井 潔 | KGRI | 共同研究員 | エネルギー工学、経済、知的財産権 |
山本 仁志 | KGRI | 訪問教授 | 協力の進化、社会的ジレンマ、社会シミュレーション、エージェントベースドモデリング、社会情報 |
梶田 朱音 (2023/3/1-) |
KGRI | 共同研究員 | 機械学習、多変量解析 |