ワークライフバランス研究センター

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センター長 : 太田 喜久子(看護医療学部・教授)
活動拠点キャンパス : 湘南藤沢

センター概要

ワークライフバランス研究センターでは、科学技術振興調整費 女性研究者支援モデル育成「ソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援」の推進拠点として、大学におけるワークライフバランス施策のあり方に関するアクションリサーチを行う。大学における研究者特有のワークライフバランスの課題とニーズを明らかにし、その上で、大学としてどのようなワークライフバランス施策が有効であるかの検討、計画策定、施策の実施、評価を行う。本センターの活動の成果によって、大学がワークライフバランスの取れる誰にとっても働きやすい環境となることにより、出産・育児・介護等のライフイベントによって研究を中断する研究者が減少することが期待される。さらに、これまで出産・育児等の要因によって進学を躊躇していた人材も研究者として大学に呼び込むことが可能となり、その結果、育児・介護経験を持つ研究者が増加し、より多様な視点からの研究が実施されることが期待できる。このような施策の策定・実施のプロセスを研究しその成果を発信していくことは、慶應義塾のみならずさまざまな学術研究機関における将来的な国際競争力の強化にもつながっていくと考えられる。

キーワード・主な研究テーマ

ワークライフバランス 女性研究者支援 男女共同参画

2010年度事業計画

ソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援

  1. 推進体制の整備:
    各キャンパスにおける男女共同参画への取組と連携した、継続的な女性研究者支援のための基盤整備を実施する。特に、女性研究者を支援する勤務制度整備の試験的導入およびその評価の実施、女性研究者への情報提供および女性研究者がコミュニケーションや会議を円滑に行うことのできる情報支援環境の運用およびその評価の実施、地域連携による女性研究者支援に関わるプログラム開発および人材育成の体制の整備、運用およびその評価の実施を行う。
  2. 育児支援:
    育児中の女性研究者の負荷の軽減のための補助員の配置およびその評価の実施、育児中の女性研究者に対する病児保育支援のプログラム開発と提供およびその評価の実施、一時保育支援システムの構築と改善および一時保育を担う学生サポーターの養成、) 一時保育施設の運営、女性研究者の両立支援のための、キャリア構築とワークライフバランスに関する事例(ケース)およびキャンパス周辺の育児情報等、地域リソースに関する情報公開の拡充を実施する。
  3. エンパワーメント支援:
    女性研究者・大学院生等がキャリア構築に関してアドバイスを受けられる相談窓口の試験的運用、 女子学生のためのインターンシップの検討および試験的実施、 生徒・学生・若手研究者等が研究者としてのキャリア構築に関して学ぶことを目的とした講演会等の企画及び実施、女性研究者の研究活動を円滑化させる情報共有のためのコミュニティ形成・ネットワーキング支援の実施、女性研究者支援の取り組みを学内および社会へ周知するためのシンポジウム・講演会の開催を行う。
  4. 調査・研究推進:
    女性研究者の支援ニーズ等の学内調査の継続実施、女性研究者支援につながるワークライフバランスに関連する調査、研究の推進、外部評価委員(第三者)による外部評価の実施を行う。

2010年度事業報告

■当該年度事業計画に対する実施内容、および研究成果と達成度

  1. 推進体制の整備:
    男女共同参画室を中核に据え、各キャンパスにおける男女共同参画への取組と連携した女性研究者支援のための環境整備を行った。
  2. 育児支援:
    育児中の女性研究者の負荷軽減のための補助員の配置およびその評価、育児中の女性研究者に対する病児保育支援のプログラム開発と提供およびその評価、一時保育支援システムの構築と改善および一時保育を担う学生保育サポーターの養成、一時保育施設の運営、女性研究者の両立支援のためのキャリア構築とワークライフバランスに関する事例およびキャンパス周辺の育児情報等地域リソースに関する情報公開の拡充を行った。
  3. エンパワーメント支援:
    生徒・学生・若手研究者等が研究者としてのキャリア構築に関して学ぶことを目的とした講演会等の企画及び実施、 女子学生のためのインターンシップの検討および試験的実施、 女性研究者の研究活動を円滑化させる情報共有のためのコミュニティ形成・ネットワーキング支援、女性研究者支援の取り組みを学内および社会へ周知するためのシンポジウム・講演会の開催を行った。
  4. 調査・研究推進:
    ワークライフバランスと男女共同参画に関する第2回調査の実施(慶應義塾大学全常勤教員対象)、女性研究者支援につながるワークライフバランスに関連する調査・研究の推進、外部評価委員(第三者)による外部評価を行った。

■公刊論文数(件数と主たる公刊誌名)、学会発表件数(国内・国際)、イベントなど社会貢献の実績(年月日、場所)

  • 第3回『ソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援』シンポジウム「慶應義塾としての男女共同参画への取り組み--女性研究者支援を超えて」(2010年11月13日 日吉キャンパス 独立館D101教室)
  • 平成22年度男女共同参画に関するシンポジウム(2010年12月11日 TKP東京駅日本橋ビジネスセンター 5F「ホール5C」)
  • 「ワークライフバランスを考える研究者の夕べ」 第5回、第6回(2010年4月8日、2011年1月12日 矢上キャンパス 創想館)
  • 「ワークライフバランスを考える 信濃町キャンパス研究者の集い」(2010年9月17日 総合医科学研究棟1階ラウンジ)
  • 「若手研究者のための研究資金獲得法」講演会(2010年9月22日 湘南藤沢キャンパス τ11教室)
  • 「Keio☆Girlsワークライフバランスシンポジウム」(2010年11月24日 矢上キャンパス 創想館7階フォーラム)
  • 「若手研究者・大学院生のためのキャリアセミナー・キャリア・アドバイザー交流会」(2010年12月1日、3日 湘南藤沢キャンパスν棟DNPハウス)
  • 慶應義塾女子高等学校シンポジウム「女性研究者・専門職への道」(2010年12月11日 慶應義塾女子高等学校)

■センター活動を通じて特に成果を挙げた事柄

本センター設置後、その活動の成果が認められ、文部科学省科学技術振興調整費女性研究者支援モデル育成に採択され、「ソーシャルキャピタルを育む女性研究者支援」事業を3年間にわたって行った。センターの活動の成果として、妊娠中・育児中の女性研究者のための研究業務支援・病児保育支援を実施し、その有効性を明らかにすることができた。また、次世代の研究者のキャリア支援となるロールモデル集の編纂、キャリアセミナーの実施、コミュニケーションシステムの整備等を通じて、女子学生・若手女性研究者へのエンパワーメントを行った。また、2回の全学調査を通じて男女共同参画とワークライフバランスに関するニーズの把握および施策の評価を行った。各キャンパスでは、キャンパスごとのニーズに応じたネットワーキング活動を行い、これまで顕在化してこなかった女性研究者のキャリアとライフイベントとの両立に関わる課題を明らかにすると同時にその課題を共有することのできる環境を構築してきた。湘南藤沢キャンパスでは、キャンパス内に子どもが安全に過ごせるスペースとして「コガモの巣」を整備した。並行して、学生保育サポーター養成プログラムを開発・実施し、養成した学生保育サポーターを活用した一時保育サポート事業をコガモの巣にて実施してきた。さらに、学内の各部門に働きかけを行い、男女共同参画担当理事職および男女共同参画室の設置、すべてのキャンパスに子どもと入れるトイレの整備等の自主経費による事業を行った。

所員

所員(兼担)

太田喜久子 看護医療学部 専門 教授
渡部直樹 商学部 専門 教授
浅川順子 商学部 語学 教授
濱田庸子 環境情報学部 専門 教授
武田祐子 看護医療学部(信濃町) 教授
野末聖香 看護医療学部(信濃町) 教授
木津純子 薬学部 薬学科 教授
天谷雅行 医学部 教授
坪田一男 医学部 教授
犬伏由子 法学部 法律学科 教授
駒村康平 経済学部 専門 教授
村井純 環境情報学部 一般 教授
金子郁容 大学院 政メ研究科 教授
岩波敦子 理工学部 語学 教授
河内恵子 文学部 人文文学系 教授
樋口美雄 商学部 専門 教授
鈴木 透 法学部 語学 教授
工藤教和 商学部 専門 教授
増田真也 看護医療学部 一般 准教授
宮川祥子 看護医療学部 一般 准教授
安田恵美子 看護医療学部 専門 准教授
松本緑 理工学部 生命情報学科 准教授
谷川瑛子 医学部 専任講師

所員

島桜子 先導研究センター 特別研究准教授
上田七生 先導研究センター 特別研究助教
堀美奈子 先導研究センター 共同研究員