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【座談会】慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)が 目指す今後の未来とは

2019.02.08

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長寿クラスターリーダー 岡野栄之(医学研究科委員長 / 医学部 教授)

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安全クラスターリーダー 大石 裕(常任理事、法学部 / 法学研究科 教授)

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創造クラスターリーダー 伊藤公平(理工学部長 / 理工学研究科委員長 教授)

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KGRI所長 安井正人(医学部 教授)   ※所属・職位は取材時のものです。


安井:慶應義塾大学は創立以来、福沢諭吉先生が提唱された実学に取り組んでまいりました。21世紀を迎えた今、実学の必然性がますます問われるようになってきております。

21世紀をどうやって乗り切っていくのか、また大学として何ができるのか?慶應義塾は、その答えとして、長寿(Longevity)」「安全(Security)」「創造(Creativity)」の3つのクラスターを設け、それぞれの研究・教育活動を展開していくと同時にその成果を社会へと還元するという目標を掲げました。

今、日本では急激に超高齢社会を迎え、高齢化の潮流は世界的に注目されています。また、世界中で従来の予想を超える様々な出来事が起こっています。こうした問題を乗り切るためにも今こそ我々の創造力が試されているのではないでしょうか。そんな思いで、我々は「長寿(Longevity)」「安全(Security)」「創造(Creativity)」の3つのクラスターを立ち上げたのだと思います。そして、3つのクラスター研究を着実に推進していくミッションを担い、2年前に慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)が立ち上がりました。

今後、クラスターの研究をさらに発展させていくためにKGRIはどのような取り組みをしていくべきなのか、この機会に討論できればと思います。

そこで、本日は3つのクラスターリーダーの先生方にお集まりいただきました。


学部を超えた、新しい長寿研究を

安井:はじめに長寿クラスターリーダー岡野栄之先生、長寿クラスター研究の特徴や、現在進行中の研究を教えていただけますか?


岡野:長寿クラスターは医学研究だけではなく、政策提言あるいはこれを支える技術的な面などさまざまな局面を持っています。KGRI自身が文理融合研究を推進する役割を持っていますが、長寿クラスターには文理融合研究の基礎は内在していると考えています。

私は生命科学、医学の立場から長寿、老化、認知症の問題に取り組んで参りました。

一方技術面では、理工学部の大西公平先生にロボティック技術などから長寿社会をどう乗り切るか、といった部分に取り組んでいただきました。長寿クラスター研究が始まってから、2016年には紫綬褒章をいただくなど素晴らしい功績をお持ちの先生で、一緒に研究をやらせていただいたことを大変誇りに思っています。

また政策的な点では経済学部の駒村康平先生に医療政策、医療経済という観点からご検討いただきました。例えば認知症の発症を5年遅らせるとどれだけの経済効果が出るのか、あるいは現時点で認知症が社会にどれだけの経済負担をさせているか。年間にすると14.5兆円、これはGDPの3%にも達しているという事が判り、危機感を強めています。認知症の撲滅は極めて難しい疾患ですので、どうやって早く見つけて早期治療につなげられるかということが非常に重要な課題であります。

慶應義塾の塾員でもある内藤晴夫さん(エーザイ株式会社CEO)が代表を務めるエーザイ株式会社と慶應義塾大学とでEKiDという認知症研究の産学連携を結びました。これも、KGRIの研究活動が呼び水になったものと考えています。

KGRI内部では、独自なアカデミックな探索的な研究も行っています。薬学部や理工学部と連携してキャンパスを超えた共同研究、さらには大学院生の若手育成も進めています。

おそらくここで技術が開発されてくると医療情報や、生化学的・分子生物学的なデータ(マルチオミックス・データといいます)を集約して大きなデータベースを構築することが可能になります。このビッグデータをどのように扱っていくか。データの活用として注目されているのが、認知症研究の非常に重要な方向性だと思います。

創造クラスター研究と一緒になって、AIを使ってそれぞれの認知症の患者さんや予備軍の方々をカテゴリに分類していくことで「何年後に認知症が起こりうるか?」ということが、的確に予想ができるようにして行きたいと考えています。やがてAIによる認知能力の診断は可能になるでしょう。同時にそれは認知症の早期発見・早期治療の実現につながり、国難さらには人類全体が抱える大きな問題に立ち向かえると考えています。

長寿に関する専門的な医学的研究は、さまざまな面でのセキュリティにつながっていると考えています。今後も安全クラスターとの研究についても模索していきます。

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安井:長寿クラスターでは今日本が抱える問題に、医学的なアプローチのみならず環境・経済問題を含めて取り組まれていているということですね。このような融合研究が産学連携までに発展し、AIの活用やセキュリティのための的確なビッグデータの活用に繋がればと期待しています。


安全・安心の言葉の再定義をはかる

安井:安全クラスターリーダーの大石裕先生、研究の特徴や、現在進行中の研究などについて、教えてください。

大石:安全クラスターは他の長寿・創造クラスターと比べると、やや社会科学・人文科学の色彩が強いという特徴があります。しかしながら文理融合、学際的研究を目指すのは言うまでもありません。

少し歴史をさかのぼって見ますと、1990-91年「湾岸戦争」、1995年「阪神淡路大震災・地下鉄サリン事件」、2000年「米国の9.11同時多発テロ」、2011年「東日本大震災」が生じました。その結果、戦後日本社会の基盤を形成していた「安心・安全」社会という言葉をそのまま使うことは難しくなってきました。東アジア・朝鮮半島情勢にしても、大きな動きはあるものの、いまだ予断を許さない状況です。このように、本クラスターの「安全」という言葉が、日本のみならず世界的にも一段と重要な意味を持ってきたように思います。

社会・人文科学の研究を進めていく場合、いくつかの分野やプロジェクトに分けて独立した形で研究を進めざるを得ない部分があります。まずもって専門領域で調査研究を深め、そのうえでお互いの研究成果を持ち寄るというスタイルで、このクラスターは研究を進めています。これまでの3年間、研究を進め成果はあがってきたと考えております。ちなみに、主なプロジェクトは、①東アジアを中心とした安全保障の問題、②「リスク社会」に関する分析、③ソサイエティ5.0を形づくるための社会システムマネジメントを安全保障の観点からさまざまな方法論を探る研究が、行われてきました。

本来、スーパーグローバル事業は研究というよりも教育と大学の中の組織的な体制づくりを対象とする助成金でしたが、慶應は「教育と研究は不可分の関係である」ということでKGRIを立ち上げ、独自資金によって研究を進めてきたことに大きな特徴があると考えています。きっかけはスーパーグローバル事業でしたが、KGRIの事業は慶應がまさに独自に発案し、研究プロジェクトを推進してきたと言えると思います。

研究成果を本格的に世に問えるのは、6~7年後かもしれませんが、今までの3年間の蓄積をもとに、研究をさまざまな形で発展させていき、調査研究だけではなく実際の政策提言や国際的な交流を通じて慶應の研究面の情報発信力の増大という面でも貢献できると考えています。

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安井:確かにここ20~30年の間にこれまで想像できなかった予測を超えるさまざまな事案が起きています。安全な暮らしというのは、いつの時代も最優先課題なのだと思いますが、今後さらに重要度が増すだろうと私も考えています。


想像力を持って新しいものを「創造」していく

安井:最後に創造クラスターリーダーの伊藤公平先生、お願いします。

伊藤:長寿というクラスターは医学的なもので、QOLの向上といったわかりやすい目標があります。また安全クラスターも安全で安心な社会を目指す、といった誰でもわかりやすい目標があります。では、なぜ、KGRIが創造クラスターを創設したのか。それは「想像力」を持って新しいものを「創造」していくことがこの先求められるからだと考えています。

新しく生み出された技術が社会をどのように良くするのか?あるいは悪くするのか?私たちの学術的な理工研究や社会科学・人文科学の成果が、医療に、社会生活にどうつながっていくのか?その橋渡しを想像力を持って生み出していくのが、創造クラスターのミッションであり研究の特徴です。

現在、私に加えて、理工学部の泰岡顕治教授、文学部の松田隆美教授、メディアデザイン研究科の稲蔭正彦教授らが中心となり創造クラスター活動を進めています。最初の3年間はさまざまな想像力に満ち溢れたプロジェクトを立て、慶應にどんな独創性を持ったプロジェクトがあるのか、ひとつひとつ見極めてきました。

その結果、今年度からAI活用を基盤プロジェクトとして考えています。よく「AIは天使か悪魔か?」などと言われていますが、その技術を見極めるためには私たちは常に最先端に立っている必要があり、また、そのポテンシャルを積極的に活用していかなければなりません。

さらに言えば、AIの悪魔の部分を徹底的に理解して、天使の道へKGRIが牽引していかなければならないと考えています。

ではなぜ慶應義塾でそれができるのか?旧帝大で新入生の7割近くが理系であるのに対し、慶應は7割近くが文系であります。KGRIがAI活用のプラットフォームを造り、社会科学・人文科学系の方々の多くがAIを活用することで、バランスのとれた社会を構築が慶應義塾でできるのです。

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安井:3人のリーダーの先生のお話を聞いて、現在私たちが抱えている問題にどう解決していくか?よりよい未来を築くために大学として何を追求していくべきなのか?そして、KGRIとしてどのような取り組みが求められているのか、いくつか具体的な課題を提供していただいたと思います。ありがとうございました。


KGRIが考える、研究・教育・次世代の優秀なリーダーの育成とは

安井:大学のミッションとしては、最先端の研究をリードしていくと同時に次世代の優秀なリーダーを輩出していくことがとても大切だと思っています。

それぞれのお立場からKGRIとしての研究・教育、そして次世代育成についてどう取り組んでいくべきか、クラスターリーダーの先生方の考えをお聞かせください。


岡野:日本は世界が認める長寿国で、長寿者の良いバイオサンプル(生体材料)が揃っています。中でも、110歳以上の生体材料を150例も揃えているのは、世界の中でも慶應義塾大学だけであると思います。このようなアドバンテージを最大限に活用したいと考えております。それに加えて慶應の若手の研究者たちが慶應には無い技術を海外で学び、それぞれ武者修行して次の世代につなげていくこと。そしてさまざまな場所で人材交流のエコシステムがここで作れたらと思いますね。

現在ではワシントン大学(Washington University, St. Loius)などをはじめとする海外の大学とも連携して、研究交流が行われています。この交流をさらに加速させて、研究しやすいようなプラットフォームを作れたら良いですね。いわばサステナビリティのある人材交流の礎を築いていきたいです。近い将来、Buck Instituteという老化研究の専門の研究所とも提携を結ぼうと思っております。


大石:若手研究者を中心に、海外での研究発表やフォーラムへの参加もしやすくなり、海外の研究者も多く来てくださるようになったことで、岡野先生ご指摘のように海外との交流が日常的になってきた印象を持っています。

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若手研究者や留学生を含めた研究者の裾野が広がると、当然のことながら山の頂上が高くなっていくわけです。あらゆる若手研究者が研究に打ち込める入れ物ができて、少しずつそれが満たされつつあると感じています。いまだ不十分なのは道半ばだから当然ですけれども、それでも研究環境を整えるための道筋がだいぶ見えてきているのではないでしょうか。

安全クラスターのことで言えば、前身のグローバルセキュリティ研究所では優秀な研究者が着実に成果をあげていました。KGRIはそれを基盤にしつつ、三つのクラスターを中心に、一段と多種多様な研究者が集まってきています。今後は、本格的な研究の質の向上を目指すと同時に、今まで以上に有利な環境で若手研究者には育っていってほしいと考えています。


安井:伊藤先生はどうお考えですか?


伊藤:KGRIだからこそできるものとは何か?と考えた時に浮かんだのが7学部を有する日吉キャンパスに新しい共通スペースを設置したい、ということでした。日吉主任の皆様の承認を経て本年5月から藤山記念館の1階に「日吉AI・高度プログラミングルーム」を置き、塾生が自由にAI・プログラミング活動に励める場を提供しています。

その裏では、セキュリティ面や行動の倫理面など指南していくことは必要ですが、もっと重要なのが理系だけの居心地の良いたまり場にならないようにすることです。

文系の学生から見ても魅力のあるスペースにしなければなりません。これからAIを用いるビジネスコンテストや初心者向けのプログラミングコンテストの開催など、文系や理系を超えたAIコンテストを開催していきたいと思っています。

本ルームの第一の目的は、「塾生達が早い段階からAIの技術に触れて、それを使いこなせるようになる」ということです。さらに言えばAIやプログラミングが苦手な教員たちに対してこのルームで自分を伸ばした塾生らが、「先生こうすれば良いですよ」と教えてあげる。

学生達の優れた技術やノウハウが、ゼミや研究の発展に寄与する、新しい時代の半学半教モデルを構築して、慶應の研究力を上げたいと思っています。

矢上AI・高度プログラミングルームも始動していて、今後は三田、SFC、信濃町、芝共立キャンパスなどにも本ルームを設置できればと願っています。


安井:研究力を上げると同時に若い学生、研究者に世界で活躍するチャンスを与え、長期的な視野で次世代を育成していくということに関しては、皆さん共通のお考えをお持ちのようです。



専門性の高い研究と文理融合との両輪に挑む

安井:KGRIが目指す方向性として文理融合や学際的というのがキーワードになっています。しかし、ややともするとこれらの取り組みが全体のレベルを落としかねないとう危険性もはらんでいると思います。このあたり、先生方はどうお考えですか?

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大石:これは非常に重要な問題だと考えています。やはり文理融合研究の前提にあるものが、専門的な領域での社会的評価を上げることだと考えています。それぞれの研究者が専門的な領域で成果をあげ、社会的評価を得ながら、同時にその研究業績を文理融合や学際的な共同研究へと還流していく。その両方の側面が必要だというのは当然のことだと考えています。ただ、様々な事情から研究時間が減少しているという事実も一方にはあります。その点に十分留意しながら、各々の研究者の得意分野を強めつつ、同時に学際的に連携していくことが必要ですね。


伊藤:大石先生のおっしゃるように、自身の分野でレピュテーションを高めるということは非常に重要ですね。ただその一方で、大石先生が先程おっしゃった研究時間の減少というのは、慶應義塾のシステムの問題なのか、いわゆる学会レベルでの問題なのでしょうか。

レピテーションを上げることとその他の仕事のバランス取りが難しくなっているのでしょうか。


大石:学会に向けての準備等は本当に大事なことですが、それは瞬間風速的な作業ですよね。それよりも課題となるのは大学・大学院の日常業務ですね。慶應の組織としてmustの業務があると同時に、最近では全国的にどの大学でも「この程度の作業をしなさい」という業務も数多く見られます。研究者の違いや、大学の違いを無視して形で画一的に行われていくという部分が研究時間を取られる一因になっていると思います。


安井:非常に重要なサジェスチョンをありがとうございます。研究時間の減少は深刻な問題ですね。神経科学者として常に世界の中でもトップランナーの研究を走って来られ、一方で大学の中でも医学部長、研究科委員長を務めてこられたわけですが、そのような経験を踏まえて今の日本の大学のあり方をどのようにお考えですか?


岡野:我が国では、グローバルスタンダードを出さなきゃいけない、という大きなプレッシャーがあり、さらにはさまざまな領域でペーパーワークが増加していますよね。なおかつ日本では稟議を通さなくてはいけないフローチャートがあって、プロセス至上主義になっていると感じています。これは、慶應義塾大学も例外ではなくなっています。

このために、実質的な研究開発に使う時間が、いやパワーが無くなってしまうんですよね。やはり研究開発にエネルギー、エフォートを使えるような方向に慶應義塾が先導していきたいと考えています。ベストパフォーマンスを出すためにはこうすればいいんだ、というお手本のようなものを示すことがKGRIの、慶應のミッションではないでしょうか。


安井:私自身も10年以上海外の大学にいて、慶應に戻ってきた際には、岡野先生のご指摘にあったようなプロセス至上主義的なものを非常に痛感しました。

世界で戦える研究大学になっていくためにはこの課題に取り組んでいくことが非常に重要だという実感を持っております。KGRIの活動がその問題解決に繋がるよう取り組んでいきたいと思います。そして、グローバルリーダーを育成していくにあたって、KGRIが「こうしたらもっと楽しく研究ができる」「世界の先導になれる」という成功モデルを発信していくような場になればと願っています。

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学部を超えて研究者が集い、新しいものを生み出せる場―KGRI

安井:先生方からKGRIに対するたくさんのサジェスチョンをいただくと同時にKGRIの秘めた可能性に関しても言及していただきました。最後にKGRIに対するエールのお言葉を頂戴できれば幸いです。


岡野:KGRIの活動を知ってもらうためには、もっと外に出ていく必要があると思いますね。企業にアピールしていくために、丸の内シティキャンパスがいいのか、三田キャンパスが良いのかも今後マーケティングの視点でKGRIの活動を見える化していくことが大切だと思っています。

医学部の学生が行った「慶應医学部ベンチャーコンテスト」などユニークな仕掛けも次々に生まれています。その種をあちこちに蒔いて、民間企業からビジネスを一緒にやろう、という産学連携の流れはますます加速させていきたいですね。


安井:ありがとうございます。外部への発信準備は現在整えている最中です。一つずつ実現していきたいと考えております。大石先生いかがでしょうか?


大石:当然ですけれど、人間考えたこと以上の事はできないですから、大胆な想像力・創造力を駆使してアイディアを出すことがまず大切でしょう。実現できるのが半分であっても、「ここまで行った、なかなかの成果だ」ということはよくあると思います。安井所長に変わられたことも含め、大胆なアイディアを出すといった方針を今まで以上に打ち出していただきたいなと思います。


安井:はい、既存の枠にとらわれない自由な発想で、文理融合の研究を進めていきたいと考えています。最後に伊藤先生、いかがでしょうか。


伊藤:慶應義塾の教員が「KGRIって何かやってるな」と横目で見るのではなく、慶應義塾の教員の一人でも多くが「自分もKGRIに参加したい」と思えるようにするのが、一番のチャレンジではないでしょうか。

まだまだ学内でもKGRIの知名度はそれほど高いものではありません。今後数年間をかけて「参加したい!」と思わせるものにしたいです。

一つの大きな目標に向かって何が出来るか?ということを学部を超えて皆が話し合う場を提供できるのがKGRIではないでしょうか。

それを世界にも「こういう面白い組み合わせでこんなことをやっているんだ」ということを発信し続けること。すぐには成果にならないかもしれませんけど、正しいことをやっていればいずれ評価されると思います。

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安井:ありがとうございます。KGRIが慶應義塾の多くの学生や研究者にとって魅力のある場所として成長していけるようしっかりと取り組んでいきたいと思います。

様々なアイディアが飛び交い、さらに専門性の高い研究ができる機会をKGRIが提供していくことで、その研究成果を社会に発信していきます。そして、そのような刺激的な環境のもとで学んだ若い研究者が将来グローバルリーダーとして巣立っていくことを願ってやみません。そのためにも本日ご提案いただいた課題を一つ一つの具体的なプロジェクトに落とし込み、KGRIとクラスターが一体となって前進していければと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。今回はお忙しい中ありがとうございました。


2018年10月26日 取材